補中益気湯が精神安定に効く仕組み

こんばんは^^今日は気持ちいい一日になりましたね。日中の開け放した店内の室温は25℃。暑くも寒くもないちょうどいい感じでしたが、今後は日曜日にかけて一気に気温が急降下するという予報が出ていますので、気温の変化に注意しながら体調を崩さないよう過ごすようにしてまいりましょう。
さて、今回のブログは「補中益気湯が精神安定に効く仕組み」という内容になります。
精神安定の漢方薬というと、帰脾湯や抑肝散加陳皮半夏、逍遥散、柴胡加竜骨牡蠣湯などが有名ですが、補中益気湯が用いられることもあります。
以下、どのような理由で補中益気湯が精神安定に効果を発揮するのかを分かりやすく説明させていただきます。
補中益気湯はどのような漢方薬なのか?

「補中益気湯」は、生命活動のエネルギーである「気」の量が不足した「気虚」の状態の方に用いられる代表処方です。
胃腸の働きを高めて栄養の吸収を良くし、全身のエネルギー源である「気」を補うことで、気虚の症状である、だるさや疲れ、食欲不振、寝汗、立ちくらみ、衰弱、脱肛などを改善するとされています。
一言でいうと「心身を元気にする漢方薬」になります。
元気を維持するためには、十分な栄養補給だけでなく、栄養を消化・吸収・代謝する内臓の働き、脳の正常な働きと精神的な安定、ホルモン分泌の調節、肺によるガス交換、健全な血液循環、筋肉の機能維持、体温を維持する作用、必要以上に汗を出さない作用、さらには病気から体を守る免疫機能など、さまざまな働きが関わっています。 これらの機能が互いに連携し、バランスよく働くことが、日々の活力や疲労からの回復力を支える重要な基盤となっています。
補中益気湯にはこれら元気の生成に関わる体全体の働きを向上させるという効果があります。
心身を元気にさせることがなぜ精神安定につながるの?

まず、体力が弱っていると精神が不安定になるというエビデンスがあります。
脳は全身を管理している場所なので、心身が弱って機能が低下している状態にあると、「万全ではない、あるいは不快」という信号が脳に伝わり不安定になります。
例を挙げると
鼻炎がある時は睡眠状態の悪化が2倍以上になるという研究があります
胃腸の調子が悪いと不安感が3倍以上になるという研究結果が出ています
心肺持久力が高い群と低い群の比較研究にて、高い群はうつ病発症ハザードが36%低い
慢性疾患を複数抱えている人は、慢性疾患のない人と比較して、うつ病のリスクが約2.97倍高い
などがあります。このように、こころとからだは密接に関係し合っています。
補中益気湯が関わる心身の元気に関しては
体力低下・運動不足は慢性炎症との関わりが深く、慢性炎症は脳に作用して「疲労・無気力・不安・社会的引きこもり」を起こす
体力(心肺機能・筋力)が低い人は、後にうつ・不安になりやすいという疫学研究がある
疲労が強いと対処能力が低下し、不安やイライラが増す悪循環が起きやすい
以上、ざっくりですが、補中益気湯がメンタルの安定に効果を発揮する理由が分かったと思います。
一言でいうと「全身のバランスを整えることがメンタルの安定につながる」ということですね。(心身が弱っているという状態はバランスが悪化している状態といえます)
では、気虚(心身の弱り)+メンタルの不調があればどんな人でも補中益気湯でいいのか?

以上の説明を読むと
疲れやすい
食欲もいまいち
やる気も出ない
たまにめまいも感じることがある
などの気虚(心身の弱り)の症状にプラスして
不安やイライラなどを感じやすい
眠りの質が悪い
落ち着かない、焦燥感がある
動悸や胃痛、頭痛などを感じることが多い
などのメンタルの不調がある場合には「とりあえず補中益気湯を使えばいいのか」と考えてしまいますが、実際にはそんなに単純な処方選びにはなりません。
本人は疲れや食欲不振という気虚の症状を感じていても、実際にはストレス状態(神経がたかぶっている)のこともありますし、気虚(心身の弱り)と気鬱(ストレス状態)が同居していることもあります。また、気ではなく血や精という栄養及び血液の量(車でいうとガソリン)が足りなくなっているが故の症状のこともあります。
このような状況の場合には、例えばストレス状態の時は柴胡疎肝湯、気虚と気鬱が同居している場合には逍遥散や柴胡桂枝湯、血虚がある場合には帰脾湯や四物湯など、補中益気湯とは異なる処方が適応になります。
要するに、気虚という病態には補中益気湯が適応になることがありますが、実際には細かい症状の違いや体質などを考慮しながら処方を選び分ける必要があるということになります。
この体の変化を、我々はじっくりと時間をかけて相談したり、舌や脈をみたりして判断します。
よって、実際に漢方薬を利用する際には、必ず専門家に相談することをおすすめします。お悩みの方はぜひみやわき健康薬局までご相談ください。
良い週末を^^
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