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  • みやわき健康薬局  宮脇 崇

加味逍遙散と抑肝散陳皮半夏の決定的な違い

更新日:3月30日

こんばんは^^今日は朝のうちは大嵐だったものの、お昼過ぎから気持ちよく晴れて気温が上昇してくれました。明日明後日は最高気温が25℃くらいになるという予報が出ています。気候の変化が激しいので体がついていきませんよね…。



さて、今回は「加味逍遙散と抑肝散陳皮半夏の決定的な違い」についてブログを書いていきたいと思います。


皆さんこの2つの漢方薬を知ってますか?

両方ともに、イライラや不安感など自律神経のアンバランスに起因する精神症状に対して用いる漢方薬なので、ご存じの方もいらっしゃると思います。


今回はこの違いについてご説明しますね。




2つともよく似た方剤である


  • 加味逍遙散

  • 抑肝散加陳皮半夏


この両者の漢方薬本当によく似ています。


★加味逍遙散

  1. 柴胡+薄荷=疎肝理気

  2. 当帰+芍薬=血を補う

  3. 白朮+茯苓=脾気(消化吸収機能)を補益

  4. 生姜+甘草=胃の働きを助ける

  5. 牡丹皮+山梔子=清熱


★抑肝散加陳皮半夏

  1. 柴胡+釣藤鈎=疎肝理気+鎮静

  2. 当帰+川芎=血を補う

  3. 白朮+茯苓=脾気(消化吸収機能)を補益

  4. 陳皮+半夏=胃の働きを整える

  5. 甘草=諸薬の調和


ざっくりですがとてもよく似ていますよね。違うのは加味逍遙散の5番、清熱のあるなしくらいかな?と捉えられます。補血と胃腸の働きを整える生薬に関してはほぼ同じと言ってもいいでしょう。





ただ、よく見ると違うところがある

プロの目から見ると違うところがあります。


✅両者の違うところ

  • 加味逍遙散には血液の流れをよくする生薬(柴胡、薄荷、当帰、芍薬、牡丹皮、生姜の6味)が豊富に含まれている(抑肝散加陳皮半夏は柴胡、当帰、川芎の3味)。

  • 釣藤鈎という脳の興奮を抑制させる生薬の有無(釣藤鈎は抑肝散加陳皮半夏のみに含有)

  • 清熱作用のある牡丹皮、山梔子の含有の有無(牡丹皮、山梔子は加味逍遙散のみに含有)


なぜこの違いがあるかというと、加味逍遙散は血流を良好にすることによってメンタルを改善することに重点が置かれ、抑肝散加陳皮半夏は脳の興奮を抑制されることを目的に作られているからです。


ん?メンタルヘルスの調子が悪くなることの原因はストレスが多く、よって脳が緊張、興奮することが原因なので、どちらの方法でも良さそうだけどなぜ分ける必要があるの?という疑問が浮かんできますよね。一方は体表部の血管を拡張させる+血を増やして血流を良好にさせ、脳の充血を改善する+末端部の血流を良好にして心身をリラックスさせる(末端部の血流がよくなるとリラックスしやすくなります)という効果があり、もう一方は脳に作用して緊張や興奮を抑制させる。どちらも方法が違うけど、結果として脳のアンバランスを改善するということに関しては同じです。


なのでどっちでもいいのでは?と思っちゃいますよね。


しかし、両者は大きく異なる部分があります。それは「脳に作用する作用である釣藤鈎の有無」です。釣藤鈎には脳神経に作用して神経の昂りを抑制するという働きがあります。この有無が大きく異なります。抑肝散加陳皮半夏は釣藤鈎を含有しているので脳神経を鎮める働きがあり、加味逍遙散は清熱させること+体調部の血管を拡張させて血流をよくすることにより脳の興奮を抑制させます。(抑肝散に血流をよくする生薬の配合が少ない理由は、血流改善薬には脳を興奮させる作用が多少ですがあるためです)


当然ですが、抑肝散加陳皮半夏の方が脳の興奮や昂りに関しては改善効果があります。


では、メンタル疾患において加味逍遙散の出番はないのでは?と思う方がいらっしゃると思いますがそんなことはありません。加味逍遙散は先ほど申し上げた通り、血流を良好にすることによって脳の興奮を抑制させる効果がありますが、一方でショックなことがあって鬱々としている時や悲しい時など、逆に脳の活性が低下している時には、脳の活性を高めてストレス状態を改善するという働きもあります。


つまり、抑肝散加陳皮半夏は脳の興奮を抑制させる一辺倒(脳に対しての効果です。実際には先ほどご説明した通り胃腸の働きを助ける効果や血を増やす効果などもあります)なのに対し、加味逍遙散は効能は弱いですが脳の興奮を抑制させるし、更に落ち込んでいる時や考えごとが多い時など様々なメンタルの不快症状に対応可能で、更に手足の冷え+顔ののぼせ、肩こり、むくみ、肌荒れ、耳鳴り、生理痛などの血行不良+ほてりや寝汗、口の乾き、イライラなどの熱症状にも対応することができるという効果が追加されます。


まとめますと、手が震える、興奮+めまい、ホットフラッシュ、頭痛+耳鳴り、緊張+不眠、顔面神経麻痺、イライラが強い+不眠などの脳の興奮症状が強い場合は(漢方では内風と呼ぶ)抑肝散加陳皮半夏(原因によってはこの生薬だけでは不十分なことが多い)が適応となり、興奮や緊張はあるもののそれほど激しくなく、落ち込みや不安感、鬱っぽいなどの多彩な症状(漢方では肝気鬱血と呼ぶ)があり、更に冷えのぼせや肩こり、むくみ、肌荒れ、生理痛などの血流障害の症状+熱症状(のぼせやイライラなど)が付随するものは加味逍遙散が適応になるという違いがあります。


ぜひ参考にしてくださいませ。私はよく、お昼は加味逍遙散をおすすめし、寝る前に抑肝散加陳皮半夏をおすすめ(夜は血液の流れを良好にする必要がなく、脳の興奮を抑制した方が睡眠の質が上がるため)します。




漢方薬は書かれている効能効果だけで飲むものを決めるのではなく、以上のように症状や体質によって適応が異なるので、できれば漢方のプロに相談してから服用するようにしてみてください。




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