香蘇散が妊婦さんの風邪に重宝されてきた理由
- みやわき健康薬局 宮脇 崇
- 5 日前
- 読了時間: 5分
こんばんは^^今日は目まぐるしく天気が変わりました。午後からの雷を伴う大雨はすごかったですよね。季節が夏になっんだな~と感じました。
さて、今回のブログの内容は「香蘇散が妊婦さんの風邪に重宝されてきた理由」になります。
皆さん香蘇散という漢方薬を知っていますか?
有名なようで有名じゃない微妙な感じなので、知っている人は知ってると思いますが、知らない人が多いんじゃないかなと予想します。
そんな香蘇散ですが、妊婦さんの風邪に重宝されてきたという歴史があります。
ツムラの漢方ビュー では、胃腸が弱い人、高齢者や妊婦のかぜによく処方されると説明されています。また妊婦の感冒に関する薬剤師向け解説では、妊娠中の感冒には香蘇散を第1選択薬とするという記載もあります。
実際に私自身も、妊婦さんの風邪には香蘇散や参蘇飲、桂枝湯、柴胡桂枝湯などの「刺激の少ない」漢方薬をおすすめすることが多くなっています。
今回は、香蘇散が妊婦さんの風邪に重宝されてきた理由について分かりやすくご説明させていただきます。
香蘇散とはどのような漢方薬なのか

✅香蘇散の効能:体力虚弱で、神経過敏で気分がすぐれず胃腸の弱いものの次の諸症:風邪の初期、血の道症
✅神戸中医学研究会の中医処方解説に書いてある適応症
①脾胃気滞:腹が張る、遊走性の腹痛、悪心、嘔吐などの症候で舌苔は白薄、脈はやや弦
②気滞を伴う表寒感冒:頭痛、悪寒、無汗、身体痛などの表寒の症候に脾胃気滞を伴うもの。舌苔は白薄、脈は浮
◆効能:理気和胃、理気解表
訳しますと
①ストレスや暴飲暴食、風邪への罹患などにより胃腸の機能が阻害され、腹の張りや腹痛、吐き気などの症状が出るもの。舌の苔は白く薄い。脈はやや強く緊張している。
②食欲不振や吐き気、腹痛などを伴う心身の緊張や悪寒を伴う風邪に用いる。舌の苔は白く薄い。脈は軽く触れただけでハッキリと触れることができる。
になります。
まとめますと、暴飲暴食などによるげっぷや吐き気、ストレスによる腹痛、食欲不振などの胃腸の働きに問題が発生している症状の時にも使えますが、さらに、胃腸が弱い又は吐き気や食欲不振、腹痛などを伴う風邪の初期(悪寒を伴う)にも使える処方になるという意味になります。
✅香蘇散に含まれる生薬と効能
蘇葉(そよう):スーッとする爽やかな香りが、体の中に詰まったイライラやモヤモヤをスッキリ流します。同時に、皮膚の毛穴を優しく開いて、風邪の引き始めの「ゾクゾクする寒気」を汗と一緒に外へ追い出します。
香附子(こうぶし):漢方では「ストレスによる気分の落ち込み」を解消する名医のような生薬です。主役のシソの葉とタッグを組むことで、不安や緊張からくる頭痛、肩こり、体の節々の痛みを優しくほぐします。
陳皮(ちんぴ):胃のあたりに溜まったモヤモヤを解消して、お腹のガスを抜き、胃腸の動きを活発にします。風邪を引いたときの「食欲がない」「胃がムカムカする」といった症状を抑えてくれます。
生姜(しょうきょう):冷えた胃腸をじんわりと温め、風邪のウイルスに負けないようにエネルギーを作ります。また、生薬の吸収を良くしたり、胃のムカつきや吐き気をピタッと鎮める役割もあります。
甘草(かんぞう):胃腸に元気を補給しながら、急な痛みや体調の崩れをなだめます。さらに、個性の強い他の生薬たちがケンカしないように、全体のバランスをまあるく調和させる名マネージャーです。
では、なぜ妊婦さんの風邪に重宝されてきたのか

香蘇散が妊婦さんの風邪に広く用いられる理由は、「お腹の赤ちゃんへの高い安全性」と「妊娠期特有のデリケートな胃腸への優しさ」を兼ね備えているからです。
最大のポイントは風邪薬の定番である「葛根湯」や「麻黄湯」などと違い、交感神経を刺激する「麻黄」が含まれていない点です。麻黄は血圧上昇や動悸、子宮収縮のリスクを高める恐れがあるため妊婦さんには慎重を期しますが、香蘇散はその心配がありません。
また、消化に負担をかける「地黄」なども不使用で、身近でマイルドな5つの生薬だけで構成されています。発汗作用が非常に優しいため、妊婦さんの体力を消耗させずに初期の寒気や頭痛を発散して治すという特徴もあります。
さらに、「胃腸が弱っている状態でも飲める風邪薬」である点も大きな理由です。妊娠中はつわりや体調の変化によって胃腸機能が落ちやすく、強い薬は胃もたれの原因になります。
香蘇散には胃腸の働きを整える「陳皮」や「生姜」が含まれているため、胃を痛めることなく安心して服用できます。
このように、有害な生薬を徹底して避けつつ、体調が不安定な妊婦さんの体に一切の負担をかけずに安全に風邪を追い出せる確かな安心感こそが、ファーストチョイスとして選ばれる理由です。
妊婦さん以外にも神経質で胃腸が弱い人の風邪の初期にも適応になる
胃腸の優しく刺激がマイルドな処方なので、妊婦さんに限らず、悪寒のする風邪を引いた時に葛根湯や麻黄湯などの刺激が強めの漢方薬を服用すると胃痛や吐き気が出てしまう、心臓がドキドキして気持ち悪い、のぼせてしまい気分が悪くなる、汗がたくさん出てしまい体力が消耗するなど、反応が強く出てしまう方にも適応になります。 一言でいうと「ストレスで自律神経が乱れ、胃腸も弱っている人の風邪薬」だといえます。
今回は以上になります。いい週末をお過ごしくださいませ。
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