柴胡桂枝乾姜湯が咳に効果を発揮する仕組み
- みやわき健康薬局 宮脇 崇
- 4 日前
- 読了時間: 6分
こんばんは^^朝から湿度が高くムシっとした空気が立ち込めている鹿嶋市です。気温がさほどではないので何とか過ごせますが、快適とはとてもじゃないですが言えないですね。
さて、今回のブログは「柴胡桂枝乾姜湯が咳に効果を発揮する仕組み」というお題になります。
皆さん柴胡桂枝乾姜湯という漢方薬をご存じでしょうか?
神経症や不眠症、更年期障害の時の不定愁訴、動悸、寝汗などによく用いられている処方ですが、咳や気管支炎などにも効果を発揮する処方になります。
ピタッと合うと本当によく効くのを目の当たりにする処方です。
この柴胡桂枝乾姜湯がどのような仕組みで咳に効果を発揮するのか、それを分かりやすくご説明させていただきます。
まずは、含まれている生薬の効能をご説明します

順番にご説明しますね。
✅柴胡(サイコ)
ストレスなどによるイライラや自律神経の乱れを整え(疏肝解鬱)、体にこもった熱を冷まして炎症や痛みを鎮める(清熱・解表)などの効果があります。
✅乾姜(カンキョウ)
体を芯から強力に温め、胃腸の冷えやそれによる痛み・下痢などの症状を改善する(温中散寒)効果があります。
✅桂枝(ケイシ)
「冷えによる血管の滞りを温めて開き、気血の巡りをスムーズにする生薬」です。
✅甘草(カンゾウ)
「筋肉の急な痛みを鎮め、胃腸の働きを補いながら、他の生薬の強い個性をまろやかに調和させる生薬」です。
✅黄芩(オウゴン)
「体の上部にこもった余分な熱と炎症を強力に冷まし、水分代謝の滞りをクリアにする生薬」です。
✅栝楼根(カロコン)
「体の内側の激しい渇きを潤し、体にこもった熱を冷まして、腫れ物や膿を抑える生薬」です。
✅牡蛎(ボレイ)
「高ぶった神経や血流のハネ上がりを抑えて鎮め、体から漏れ出る余分な汗や水分を止める生薬」です。
◆商品に書かれている柴胡桂枝乾姜湯の効能効果
体力中程度以下で、冷え症、貧血気味、神経過敏で、動悸、息切れ、ときに寝汗、頭部の発汗、口の乾きがあるものの次の諸症:不眠症、神経症、動悸、息切れ、風邪の後期の症状、気管支炎、更年期障害、血の道症(※血の道症とは、女性ホルモンの変動などに伴って現れる心身の不調のことです)
柴胡桂枝乾姜湯が咳に効果を発揮する仕組みとは?

それでは、柴胡桂枝乾姜湯がどのようにして咳に効果を発揮するのか、そのメカニズムを詳しく見ていきましょう。
一言でいうと、柴胡桂枝乾姜湯は、風邪や感染症の回復期に、自律神経の乱れや炎症が残り、さらに肺や胃腸の働きが低下して気道が乾燥し、咳だけが長引いている方に適した処方です。
風邪を引くと誰でも自律神経が乱れます。
古来、風邪は命を失う疾患であったために、感染すると脳は脅威を感じると共に、身体を守るためにストレス状態になります。感染すると脈が速くなったり、気分が悪くなったりするのは誰しも経験があることだと思います。
その自律神経の乱れが、風邪罹患の峠を越しても続くことがあります。風邪はある程度治ったものの、ちょっと動いただけで体が熱くなり発汗したかと思えば、ちょっと風が吹くと必要以上に寒く感じるなどは、自律神経が失調しているサインです。
脳がストレスを感じていると自律神経が乱れます。自律神経が乱れると、咳反射が過敏になるなるので、それによって咳が出やすくなります。
柴胡桂枝乾姜湯は以上のような風邪によって脳が過敏になり、自律神経が乱れることによって出る咳に効きます。
✅自律神経の乱れによって出る咳の例
ストレスを感じると咳が出る
家にいる時は出ないけど、仕事になるとよく出る
寒暖差で出る咳
心身を動かすと咳がよく出る
※ただし、風邪後期には誰でも自律神経が乱れるので、これらの症状が伴わないことも多々あります。
しかし、自律神経の乱れがあるからといって誰にでも効くということではありません。
普段より胃腸が弱く、風邪の罹患によってさらに弱っている人
病後・産後・高齢者・虚弱者など、回復力が低下した人の咳
口や喉の乾燥感を伴う、痰が切れにくい咳が出る方
疲労やストレス、夜間に悪化する咳が出る方
といった特徴がある方に適しています。
また普段の体質として
疲れやすい
胃腸が弱く口が水っぽい
冷えやすい
口が乾きやすい
神経を使いやすく、不安や動悸を伴うことがある
風邪が治っても咳だけがなかなか止まらない
お腹や下半身に冷えを感じやすい
神経過敏で、冷えがあり、精神的な緊張に伴う汗(寝汗も)がある方
などを感じやすい方が適応になることが多いですが、実際には一言でいうと、「肺と胃腸が弱く過敏な方(風邪を引きやすく治りにくい、ストレスを感じやすい、ストレスにて胃腸に問題が発生しやすく下半身が冷えやすい)」の風邪後期の咳、気管支炎に用いると合う傾向があります。
以上のような方の咳や気管支炎に適応になる理由は、先ほどの生薬の説明にて説明することができます。
柴胡と黄芩にて自律神経を整えると共に風邪によって発生した炎症を抑制する
桂枝と乾姜にて身体を温め、肺と脾胃の働きを回復させ、長引く咳の回復力を高める
栝楼根にて気道粘膜を潤し、乾燥による咳を和らげる
牡蛎にて精神を安定させ、自律神経の高ぶりを鎮め、寝汗や自汗を改善する
甘草にて諸薬を調和し、気道や消化管の緊張を和らげる
この生薬の説明にて先ほどの説明が納得できますよね。
以上が柴胡桂枝乾姜湯がどのような仕組みによって「風邪による咳や気管支炎を止めるのか」の説明になります。
別の言い方をすると「感染症そのものが強いのではなく、治す力(脾肺の機能・陽気)が弱いために咳が長引いている人」に適した処方という考え方もありますので覚えておいてください。
最後に、乾姜が入っている理由についてご説明します。乾姜には温めて乾かすという作用があるので、肺を乾かしてしまい、結果的に咳を悪化させてしまうのでは?という疑問が出てきます。
答えは、上はカサカサして自律神経が過敏(熱)だけどお腹は冷え冷え(寒)という、こじれた矛盾を同時に解決するために、冷ます生薬のチームと、しっかり温める乾姜+桂枝のチームが同居して、バランスを整てるために入っているのです。要するに、柴胡桂枝乾姜湯は冷え(特にお腹や下半身)がある人に適応になるということですね。
柴胡桂枝乾姜湯が合わない人の咳
黄色く粘稠な痰が大量に出る咳(熱痰)
膿のような痰が出る咳
緑色の痰が出る咳
泡状や水様の痰が大量に出る咳(寒飲・水飲が主体)
風邪や感染症の急性初期で、高熱や強い炎症がみられる咳
風邪感染初期で強い悪寒を伴う咳
高熱が持続する咳
喉の痛みや咽頭の発赤が強く、急性炎症が主体の咳
火照りや熱感が強く、便秘傾向・食欲旺盛など実熱が目立つ人の咳
喉が非常に乾燥し、話すと咳が止まらず、水を飲むと楽になるなど、肺胃陰虚(乾燥)が主体の咳
今回は以上になります。
柴胡桂枝乾姜湯は合う人が服用するとピタリと咳を止めてくれる処方になりますのでぜひ覚えておいてください。とはいえ、実際に服用する際には必ず専門家に相談してからとしてくださいませ。
良い週末を^^
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