「漢方薬はクソ。保険薬として使い続けるべきなのか?」という意見について
こんばんは^^久しぶりのブログです。
毎週金曜日にブログを書いているのですが、8月7日は忙しくてずる休み、14日はお盆休み、21日はニュースレターの作成があったのでお休みさせていただきました。7月31日に書いてからになりますので、28日ぶりということになりますね。引き続き宜しくお願い致します。
さて、本日のブログの内容は「漢方薬はクソ。保険薬として使い続けるべきなのか?」という意見についてというタイトルになります。
まず、刺激的且つあまり品のない言葉が入っていることをお詫び申し上げます。
Xに書いてあった言葉をそのまま使わせていただきましたので、このようなタイトルとなりました。
今回は我々が納めている大事な大事な税金の使い道として、漢方薬はふさわしいのか、について私の個人的な意見を申し上げたいと思います。
問題の核心は効果を発揮できているかどうか

一番の問題は漢方薬の効果になります。
効果が得られるのであれば、「漢方薬はクソ」という感想は出てきませんし、我々が支払っている税金が使われる「保険適用薬」としての不満もありません。
問題の根源は「意味がないと思われる薬が漫然と処方され、そこに税金が使われている」という状況です。
その問題の根源となっているのが、現在の病院での取り扱いです。
2024年1月に日本の医師652人を調べた調査では、86.7%が現在漢方薬を処方していました。
ところが「ほとんどの患者で漢方を第一選択にする」と答えた医師は、わずか4.6%。一方、特定の病態なら漢方を第一選択にする医師は59.8%でした。そして漢方を処方する主な理由のトップは、「西洋医学的治療だけでは十分な効果が得られなかった」でした。
要するに
✅西洋薬=基本となる治療
✅ 漢方=西洋薬では対応しにくい患者・症状に使う治療
という現状があります。
ここで理解しておく必要があるのは、漢方薬が「この患者さんにはこの処方が適している」と判断したうえで使われるケースがある一方で、「西洋薬では十分に対応できない」「他に適当な薬がない」といった理由から、いわば「とりあえず漢方を試してみよう」という形で処方されるケースもあるという点です。
その他、2024年の調査では、漢方を処方している医師565人のうち、48.3%は「証」を使って漢方薬を選んでいませんでした。つまり現在日本で行われている漢方治療には、「証」に基づいて処方を選ぶ随証治療だけでなく、西洋医学的な病名や症状をもとに漢方エキス製剤を選択する使われ方も少なくないことが分かります。
実際、漢方薬の効果はどうなのか?

では、肝心の「漢方薬は本当に効くのか?」についてです。
結論から申し上げますと、漢方薬の効果が確認された研究は国内外に存在します。
例えば日本では、慢性頭痛に対する呉茱萸湯のランダム化比較試験で、プラセボより頭痛日数が有意に減少しました。六君子湯の研究でも、機能性ディスペプシア全体に対する主要評価項目では明確な差が出なかったものの、心窩部痛には有意な改善が確認されています。
中国でも、COPDなどに対して、患者さんの状態を見極めて処方を選ぶ「弁証論治」を取り入れた比較試験で、有効性を示した研究があります。
ですので、「漢方薬は効果がない」「科学的根拠がない」「クソだ」と一括りにするのは正確ではありません。
ただし、すべての漢方薬、すべての病気で効果が証明されているわけではない、ということは覚えておかなくてはなりません。先ほど紹介したのは一部のみであり、効果が得られなかった研究なども数多くあります。
漢方薬の効果を語る際に最も重要になるのが漢方薬の「使い方」です。
2014年に日本の漢方RCT378件を調査した研究では、ランダム化前に漢方医学的な診断を行っていたものは27件(7.1%)。つまり日本の研究の多くは「この病気にこの漢方薬」という方法で行われており、実際の漢方相談のように、一人ひとりの状態を見極めて処方を選ぶ治療とは少し異なります。
中国では弁証論治を取り入れた研究が多いものの、2026年に2,064件のRCTを解析した研究では、弁証論治を取り入れた方が、取り入れない場合より明らかに効果が高いとは確認されませんでした。
ただし、ここにも「誰が診断したのか」「どこまで自由に処方を変更できたのか」という問題が残ります。
つまり現時点では、一部の漢方薬については、特定の病気や症状に対する有効性が確認されている。しかし、熟練した漢方家が患者さんを見極め、適切な処方を選び、状態に合わせて変更していくことで、どこまで効果を高められるのかは、まだ十分に分かっていないというのが実情です。
実際、私の薬局ではどのくらいの効果が出ているのか?

結論から申し上げますと、漢方相談の現場だけから「治療成功率○%」を算出するのはかなり難しいと思います。
理由は「来なくなった人」の転帰が分からないことが大きいです。
たとえば来店が途絶えた人には、少なくとも「効かなかった」「少し効いたが満足できなかった」「改善したので必要なくなった」「完治した」「費用や通院の手間でやめた」「別の治療へ移った」などが混在します。したがって、継続率をそのまま有効率とみなすことも、離脱率を無効率とみなすこともできません。
さらに、「効いた」の定義そのものに幅があります。
たとえば100人を治療したとして、完治 → 著明改善 → 改善 → 軽度改善 → 不変 → 悪化という連続的な分布になるはずです。また、主訴以外の部分に改善や悪化などの変化が見られる場合もあります。よって「有効・無効」の二択にしてしまうと、かなりの情報が失われます。
そして漢方ではもう一つ厄介なのが、処方選択の精度を結果から逆算できないことです。「効かなかった」場合でも、処方選択が間違っていたのか、処方は正しかったが量が不足したのか、服薬期間が不足したのか、養生ができていなかったのか、原因が持続していたのか、そもそも漢方で改善できる限界を超えていたのかなどを完全には切り分けられません。
逆に「劇的に治った」場合も、漢方薬だけによるものなのか、自然経過や養生、生活環境の変化などがどれだけ寄与したのかは、一症例からは確定できません。
以上により「漢方薬が漢方薬局にてどのくらい効果を上げているのか?」という問いに対しては、「よく分からない」となります。
ただ、実際に全く効果がないクソ医学なのか?と問われれば明確に否定します。
本日だけでも
①苓桂甘棗湯の服用を始めてから不安感が楽になりパニック発作が出ていない
②甘露飲を服用するようになってから歯周病が悪化しなくなった
③産後のイライラが激しく心身がだるい時が多かったものの、ワタナベオイスターを飲み始めてから心身が楽でイライラもしなくなった(漢方薬じゃないですが)
④五苓散を服用するようになってから悪酔いしなくなった
などの、漢方薬の効果を感じたというお客様の声をいただいてます。
まとめ。漢方薬は今後、どのような立ち位置になるべきなのか?

ここまで調べてきて私が思うのは、漢方薬は「効くからすべて保険で残す」「科学的根拠が弱いからすべて保険から外す」という二択で考えるべきではない、ということです。
国内外には漢方薬の有効性を示した研究がありますし、私自身も日々の相談の中で、漢方薬によって症状が改善したという声を数多く聞いています。
一方で、すべての漢方薬、すべての病気に十分な科学的根拠があるわけではありません。また、現在の医療現場では「西洋薬で十分な効果が得られないから漢方を試してみる」という使われ方もあり、漢方薬が本来持っている効果を十分に引き出せているのか、疑問が残るケースもあると思います。
だからこそ今後は、保険で使う漢方薬と、一般用医薬品として自己負担で使う漢方薬の役割を、今まで以上に整理していく必要があるのではないでしょうか。
例えば、比較的軽い症状やセルフケアで対応できるものについては一般用漢方薬を活用する。一方、医療上の必要性が高く、有効性や安全性が確認されている使い方については保険診療として残す。そして、病名だけで漫然と処方するのではなく、効果を定期的に確認し、改善がなければ処方を見直す。
さらに漢方の特徴を生かすのであれば、医師や薬剤師など処方・選択する側の教育を充実させ、「とりあえず漢方」ではなく、なぜこの患者さんにこの漢方薬が必要なのかを考えて使うことも重要です。
税金を使う以上、「昔から使われているから」という理由だけでは不十分です。しかし同時に、現在の研究方法では測りきれていない部分があるからといって、実際に効果を上げている治療まで一律に切り捨てるのも違うと思います。
必要なのは漢方薬を守ることでも、排除することでもありません。効果が期待できる人に、適切な漢方薬が、適切な方法で使われ、その結果をきちんと確認すること。
そして保険診療とセルフメディケーションの境界を整理しながら、効果・安全性・費用に見合った使い方へ変えていくこと。私はそれが、これからの漢方薬のあるべき立ち位置ではないかと思います。
最後までお読みいただきありがとうございます。 良い週末を^^
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