こんばんは＾＾台風一過、朝から気温が急降下している鹿嶋市です。気圧や気温の急変動で自律神経が乱れている方が非常に多くなっています。調子が悪い時は心身を休めてあげることが改善に繋がります。
さて、今回は「甘麦大棗湯はなぜ泣きわめく症状を改善するのか？」についてご説明します。
皆さん甘麦大棗湯って漢方薬をご存じですか？
効能には「小児及び婦人の神経症、不眠症」と書いてあります。実際にも効能書きと同じようにストレスからくるこころの病気やストレスによる不眠症に使われています。
この甘麦大棗湯は泣きわめく症状を改善する
神戸中医学研究会の「中医処方解説」を見ると、甘麦大棗湯の効能には「養心安神」「健脾暖中」と書かれています。
その意味ですが
・養心安神＝脳を栄養して精神を安定させる
・健脾暖中＝お腹を温めて胃腸の働きをよくする
この効能を考えると、胃腸の弱い人のエネルギー不足に効果があるということが分かります。
では次に、同じく神戸中医学研究会の中医処方解説に書かれている適応症についてです。
適応症＝臓躁（情緒が乱れ、悲しがったり、絶えず泣いたり、笑ったりする症状のことを言います。ヒステリー症状ともいいます）
なぜ、甘麦大棗湯は泣いたり笑ったりなどの情緒の乱れに効果があるのかを説明しますね。
甘麦大棗湯には心身を栄養するという働きがあります。心身を栄養することによって、情緒の乱れを改善します。人間の感情を司っているのは脳ですが、その脳には「栄養状態がよくないと感情のブレーキが効かなくなる」という性質があります。
先天的な胃腸虚弱にストレスや飲食の不摂生が重なった時というのは、胃腸の働きが悪くなることや過労などによって全身の栄養状態が悪くなります。そうなると、脳が常にエネルギー不足状態となるので感情のブレーキが効かなくなり、結果、ちょっとしたストレスに耐えられなくなり、感情を爆発させてしまうという状況となるので、泣く、笑う、ヒステリーなどが出やすくなります。
甘麦大棗湯にはこのような状態を改善する漢方薬です。
配合されている生薬の内容をみれば更に理解が深まる
★甘麦大棗湯に配合されている生薬とその効能
・甘草（カンゾウ）：抗利尿効果を持ち体内にて水分を増やす。抗炎症、抗アレルギー作用を持つ。腸の緊張を取り除く。胃腸の働きをよくする。肺を潤す。
・麦芽（バクガ）：消化を助ける。胃の緊張を取り除く。血糖値の上昇を抑制する。心身の緊張を改善する。
・大棗（タイソウ）：胃腸の働きを良好にする。脳及び全身の栄養となり心身を安定させる。血を補う。
以上を見て分かる通り、心身を潤し、更に栄養する。更に胃腸の働きをよくして飲食物からの栄養吸収も良好にする。これら栄養する働きにプラスして精神を安定させる作用がある漢方薬ということがわかります。
✅どのような人に適応になるの？
胃腸が弱い大人の方、又は胃腸が未完成の子供における栄養不足（慢性的な食欲不振や下痢、もしくは栄養の偏り）がある方の精神症状（自分の感情を抑制できない）に適応になります。漢方でいう血虚といって、血液の全体的な量及び血液に含まれている栄養の量及び適切な循環が不足している方にもよく使われます。
以上、甘麦大棗湯が泣きわめくなどの精神症状を改善する仕組みについてご説明させていただきました。
このような働きがあるものの、脳の昂りを抑制するという作用はそれほど高くないことや、胃腸の機能低下を改善する効果もそれほど強くない、更に内風への配慮も低いことを踏まえると、適応になる範囲は広くないので、ピタリと合う方のみに合う薬なのかなと思います。更に注意点として「長期に渡って使い続けると、体内に水分が停留するので高血圧や心臓の負担となることがある」ということも覚えておく必要があります。なので長期服用にもあまり向かない、という縛りがありますね。
最後に、医学書にはへその横当たりの緊張が見られる場合に適応になると書かれているものもあります。なので、自分の感情を抑制できないという方で、へその横当たり腹部の筋肉が緊張している方は合っているかも…と考えてみてもいいかもしれません。しかし、これはあくまでもそのような傾向があるというだけで、へそ横の緊張がないと使えないということではありません。
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