八味地黄丸は夜間尿に効果があるのか?
- みやわき健康薬局 宮脇 崇
- 3 時間前
- 読了時間: 5分
こんばんは^^今日は寒い一日でしたね。明日はもっと寒くなるようなので、冷やさないようお気をつけくださいませ。
さて、今日のように寒くなると増えるのが「夜間尿」の相談になります。
頻尿があると睡眠の質は著しく落ち、翌日の日中に眠気が出てしまう…という困った状態になることが多いという訴えをよく聞きます。
また、意識がハッキリしない状態でトイレに行くことが多いので、転倒などの危険性があることや、冬は寒さが辛い…などのお困りの声もお聞きします。
この夜間尿に対して「八味地黄丸」が本当に効くのか、についてご説明させていただきます。
本当に効くのか、の前に「八味地黄丸はどんな薬なのか」をご説明します

八味地黄丸は腎陽と腎の陰陽を補う働きがある漢方薬です。
分かりやすくご説明すると、腎臓及びホルモン系、全身の代謝機能を高め、さらに体を温める働きと、陰液(体液を保持する能力)を増やしながら火照りなどを取り除く働きのある漢方薬が八味地黄丸であるという意味になります。
さらに細かく説明すると、①腎臓の仕事である全身の水分代謝や赤血球の合成を調整すると共に、②全身及び腎臓内の血流を良好にするという働き+全身の代謝を活性化させるという作用がある→ホルモン系や細胞一つ一つの活性を促すという薬という意味になります。
このように書くと「なんてすばらしい薬なんだ!」となるかと思いますが、強力に変化させる訳ではなく、「体に負担をかけないように少しずつ変化させる」という特徴があります。よって飲むとスーパーマンになれるというような代物ではないというのを付け加えます。
なぜこの八味地黄丸が夜間尿に効くの?
✅夜間尿の原因となるもの
睡眠障害→眠れないのでトイレに行きたくなる。(ストレス含む)
就寝前の水分の摂りすぎや飲酒→物理的に水分や毒性物質が多いと頻尿になる
冷え→心身が冷えると血管が収縮するので血圧が上がるので尿量が増える
老化や心身の弱り→膀胱壁が硬い、バソプレシン(抗利尿ホルモン)の分泌低下、腎機能低下、骨盤底筋の機能低下、全身的なむくみなど
下肢のむくみ→寝ると下肢の水が血液中に戻る
カフェインの摂取→利尿作用がある
心臓病や糖尿病、前立腺肥大、膀胱炎などの病気
睡眠時無呼吸症候群がある
夜間尿は主に以上のような原因で発生します。
八味地黄丸は冷え(老化に伴う冷え、特に下半身の冷え)や老化による各種影響(腎機能低下やバソプレシンの分泌低下、全身的な弱り)、下肢のむくみなどが原因による夜間尿に効果を発揮してくれます。
なので、必然的に「全ての方の夜間尿に効く薬ではない」となります。
で、実際に適応の人に用いたら効くの?

老化現象による足腰の冷えや弱りがあり、さらにバソプレシンという抗利尿ホルモンの分泌に問題がある(症状:夜間の尿が大量で薄い、夏場に脱水しやすい、むくみやすいなど)、また骨盤底筋の機能低下があり、尿漏れや便漏れ、子宮脱などの症状が伴う場合などに八味丸をおすすめして効果があるかどうかですが、「効く場合もあるものの、市販の八味地黄丸のみでは厳しいことが多い」というのが答えとなります。
要するに、老化現象によって発生する夜間尿に対して八味地黄丸は「見合う漢方薬になるものの、実際には八味地黄丸だけではカバーしきれない」というのが答えになります。
これは全ての漢方薬に言えることなのですが、漢方薬は生薬の寄せ集めで構成されており、特定の症状や体質に合致するように作られているものの、体質や症状の原因は個々少しずつ異なることから、全ての人に合致するものではありません。よって、個々に合わせて微調整する必要が出てきます。
実際には、冷えやむくみが強い方には真武湯を八味地黄丸にプラスしたり、関節の痛みや下肢静脈瘤などの血流の悪化症状がみられる場合には冠脈通塞丸などを併用、食欲不振や泥状便などの胃腸の機能低下を伴う場合には参苓白朮散を一緒に用いるなどの対策をして、個々の体質や症状に合わせることにより効果を高めることを行っています。
結論
八味地黄丸は夜間尿に効くけど、体質や症状によって効果はまちまち

以上、夜間尿の原因は睡眠障害、ストレス、就寝前の水分の摂りすぎや飲酒、冷え、老化、下肢のむくみ、カフェインの摂取、心臓病や糖尿病、前立腺肥大、膀胱炎などの病気、睡眠時無呼吸症候群があるなどの多種の原因があることを説明し、このうち、老化や心身の弱りに伴う冷えや腎機能の低下、膀胱機能の低下、ホルモン系の弱りなどに対してのみ八味地黄丸は効果を発揮すること、さらに、該当しても個々、体質や症状が異なるので八味地黄丸のみで対応できない場合が多いというご説明をさせていただきました。
よって、よくCMなどで説明されている「夜間尿には八味地黄丸が効く」というのは半分間違いということになります。実際には効くこともあるけど、体質や症状によって細かく用いる漢方薬(生活習慣の改善や西洋薬が必要になることもある)を決めていくことで改善率を高める努力が必要ということになります。
そして、当然ですが、「何をしても効かない」という事例もあります。
例えば老化現象によって出ている症状の多くは、「ある程度」の改善は行うことができますが(どちらかというと機能が低下する前の予防の方が効果がある)、完全に若い頃の状態に戻すことはできません。よって、魔法のように夜間尿が全て治ることはない、というのが分かると思います。
今回は以上になります。
効くときは効く。さらに熟練した漢方家であればあるほど、体質に合わせた漢方薬をおすすめする確率が高くなるので治すのがうまい。とはいえ、薬が合っていても治らない時もあるというのが夜間尿に対する八味地黄丸の実際の効能になります。
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