パニック障害の改善に「補腎薬」が必要になるケースの説明
- みやわき健康薬局 宮脇 崇
- 2 日前
- 読了時間: 7分
こんばんは^^ご覧いただきありがとうございます。
すっかり秋が深まりましたね、と言いたいところですが、まだまだ暖房がいらず、冷房を入れたくなるような陽気となっているここ鹿嶋市です。本当に冬は到来するのか?と変なことを考えてしまいますよね。
さて、今回のブログの内容はパニック障害に対する補腎薬の必要性についてになります。
私自身が20代の頃にパニック障害に罹患した経験があることや、当店にはパニック障害のお客様がとても多いという傾向があるので、よくブログに登場する疾患となります。
今回はそのパニック障害の改善に漢方薬の中の「補腎薬」が必要になるケースについてご説明します。
ちょっと難しそう…
と思っちゃいますよね。
でも、そんなことないですよ。分かりやすくご説明させていただきますので、どうぞ最後までお付き合いくださいませ。
パニック障害ってどんな病気?

パニック障害とは、
突然の強い不安・恐怖とともに、動悸・息苦しさ・めまいなどの発作を繰り返す疾患。
これは単なる“気の持ちよう”ではなく、自律神経系・脳内神経伝達物質・ホルモン系のバランスが崩れて起こる生理的反応です。
普通は理由があって初めて動悸や息苦しさなどの症状が出ます。例えば大勢の前でプレゼンを行う時には誰しも緊張して心臓がドキドキしますよね。この心臓のドキドキに対して、誰も「何この動悸、怖い…」とはならないと思います。なぜかというと必然だから。しかし、何もしていないのに突然に動悸が発生したらどうでしょう。多くの方は「えっ何?心臓の病気??」という反応をすることでしょう。
要するに、緊張する場面でもないのに、突然に心身が緊張、興奮して動悸や発汗、のぼせ、めまい、息苦しさなどの「交感神経症状」が出て、さらにその症状に対して強い不安や恐怖などを伴うものをパニック障害と呼ぶということになります。
なぜ、緊張や興奮する状況ではないのに緊張や興奮症状が出るのか、それは繰り返されるストレスや心身の過労、心身の衰弱など「脳が不安定になる理由」があるからです。一言でいうと誤作動なのですが、その裏側には「きちんとした理由」がある場合が多いです。
では、パニック障害の裏側にある理由とは何なのか?

単純ではないのですが、代表的な理由をご紹介しますね。
①度重なるストレス
度重なる上司からの叱咤、あがり症なのに毎日のようにプレゼンがある、毎晩のように繰り返される夫婦喧嘩、過度の飲酒などのストレスがあると、常に脳が緊張、興奮状態となり、それによって神経伝達物質のバランスの崩れや、ストレスによって刺激されて分泌されるホルモンの分泌の乱れなどが生じます。神経伝達物質の不均衡やストレスホルモンの分泌が続くと、それによってさらに緊張及び興奮状態が引き起こされ、ある日パニック発作のような誤作動が生じるようになります。また、その誤作動によって生じたパニック発作に対してストレスを感じるという状況が作り出され、堂々巡りで治りにくくなっていきます。
②脳の萎縮や変化
ストレスが慢性化すると、ストレスを緩和させる役目の海馬や前頭葉といった場所の萎縮や変化が生じます。それらの変化があると、精神が安定しにくくなり、パニック発作が出やすい状況が作り出されてしまいます。
③心身の衰弱
人は誰かに襲われたりして命の危機が迫った時や、重労働で心身を活性化させなければならない時、更に事故をしたら命に係わる運転時などに心身を緊張(度合の差はあります)させなければなりません。しかし、慢性的なストレスや過労、睡眠不足、食事のバランス悪化、寒冷な環境、暑さによる脱水や夏バテなどによって心身が衰弱していると心身を緊張させて対応することができません。なので何もしていないのに不安や恐怖感が生じるようになります。
要するに、何かあった時に対応できないほど衰弱している状態(体力やホルモン系、脳の機能など)なので、「何かあったら対応できない…この状態は危険だ…」と脳が常にSOSを発信している状態となるので、漠然とした不安感や恐怖感が出るようになり、また神経も過敏な状態になっているのでパニック発作も出やすい状態になるということです。
実際に、副腎が疲れ果てている状態だと、副腎が担う血圧や血糖値の調整に問題が発生しやすくなります。すると脳への酸素や糖の供給が不安定になるので、必然的に情緒が安定しないという状況が作り出されます。このように、内臓やホルモン系の機能低下によっても影響を受け、さらにストレスに対抗できないという予感による不安定さも相まっているということになります。
④体質・遺伝的要因
家族にパニック障害やうつ病がある人では、脳内の不安制御回路の感受性が高い傾向が遺伝的に見られます。また、低血圧・冷え性・胃腸虚弱などの自律神経が不安定な体質もリスクを高めます。
補腎薬が適応になるのは②、③、④

補腎薬とは漢方医学において「腎」の機能を補い、強化するために用いられる薬です。漢方でいう「腎」は、単なる臓器だけでなく、生命力、エネルギー、成長、老化、ホルモン系、免疫など全身のバランスを司る概念を指します。補腎薬は、疲労、老化、関節痛、性機能低下、冷え、のぼせ、むくみなどの症状を改善し、体の活力や抵抗力を高める効果が期待されます。主に高齢者や体力が低下している人に処方されることが多く、代表的な生薬として鹿茸、地黄、山薬、杜仲、枸杞子などが含まれます。
この補腎薬が適応になるのは、先ほど挙げた中で②、③、④になります。
③は何となく分かりますよね。補腎薬は一言でいうと「体の活力やバランスを整える薬」なので、③の心身の衰弱を治してくれます。脳や内臓だけの疲れであれば補気補血などを改善することでもクリアできることがありますが、ホルモン系や全身の代謝が落ちてしまっている時は、全身の代謝を向上させる補腎薬を用いるというのがセオリーです。
②に関しては脳の過度な活性を緩和させると共に、場合によって気血を補い、さらに血流を改善することなどをメインに行っていきますが、細胞の増殖に関しては補腎を行うことで改善しやすくなることがありますので、補助的な役割で用いていくようにします。
④はケースによります。先天的に心身が弱く「腎虚」という状況というのが根底にあり、それによってメンタルが不安定になりやすく、パニック障害に至っているような場合には補腎薬が改善に役立つということになります。腎虚が見受けられない場合には他の改善法が適応になるということになりますね。
とはいえ、補腎薬は慎重に用いることが求められる

以上のように色分けしましたが、盲目に腎虚だったら補腎薬が適応になるということではありません。補腎薬には「温めて作用のあるもの」「熱を冷ます作用のあるもの」「興奮させる作用のあるもの」「胃腸の負担になる作用のあるもの」「むくみを生じさせるもの」「血流を悪化させるもの」「血圧をあげてしまうもの」などの種類があり、また生薬が含まれています(かといって皆に副作用が出るわけではないのでご安心ください。体質や症状に合っていれば副作用が出にくいという性質があります)。
よって、過敏性が強い場合や胃腸が弱い場合、むくみやすい方、血圧が高い方、火照りや冷えがある方(補腎薬は温める作用のあるものと平性のもの、冷す作用のものが用意されているので、その人に見合ったものを選ぶことが大事になります)などに対しては慎重に用いる必要があります。
曖昧な場合は少し服用して様子を見るという方法を用います。もし、不快な症状が出ないでメンタルの改善がみられる場合は継続し、中長期においても不快な反応が出ていないか確認していくようにします。
今回は以上になります。
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