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  • みやわき健康薬局  宮脇 崇

コロナ後遺症が治りにくい理由と漢方療法

こんばんは^^朝から真夏のような暑さとなっているここ鹿嶋市です。暦と気温にかなりのギャップがあるので戸惑いますが、暑いと思ったら冷房、寒いと思ったら着るを徹底してくださいませ。



さて、本日は「コロナ後遺症が治りにくい理由と漢方療法」という話題でブログを書いていこうと思います。


何度も当ブログに登場しているコロナの後遺症について書いていきますね。

いろいろな人に漢方薬をお出ししていると、その時々によって「気づき」が出てきます。なのでそれを書き留めて、困っている人に対してヒントになればという想いから、分かりやすくまとめていこうと思います。



後遺症が治りにくい理由を考えてみる

  • コロナ後遺症として小児で起こる率は3-5%程度とされ、成人よりは頻度が低い

  • 新型コロナを発症した後では、女性は男性に比べて後遺症で苦しむ割合は高いという報告も発表されている

  • 新型コロナウィルス感染症(COVID-19)は、すべての年齢層に見られますが65歳以上の高齢者でコロナ後遺症が多く、しかも深刻である

  • 後遺症である持続性の咳において10代では1か月未満が60.4%と、比較的早く治まる方が多い傾向にありました。一方で60代では3か月以上継続した方が20.3%、70代では20.6%と、比較的多くなっています

以上、以下の信頼のおけるニュース記事から抜粋しました。


ここから読み取れることって何ですか?


私が読み取ったのは

  • 代謝が活発だと治りが早いこと

  • 自然治癒力が高い状態だと治りやすいこと

  • 傷を治す材料が潤沢だと治るのが早いこと

  • ストレスや病気、老化など、治癒を邪魔する要因が少ない方がいいということ

  • 血流が良好だと治りがや早いこと

以上になります。他にもたくさんありますが、大事なのはこの5点になります。





現代医学にて「傷の治りを遅らせる要因」を確認してみる

✅大人の炎症や傷が治りにくい理由は3つ

  1. 血流障害

  2. 神経障害

  3. 免疫の低下


①血流障害:血流が低下してしまうと、炎症や傷の修復を担う白血球や血小板、酸素などが患部にたどり着くことができません。糖尿病を患っている方の傷が治りにくいのは、糖を尿として排泄するために、血液中の水分量が減少して血液がドロドロになり血流が悪化してしまうからです。


②神経障害:神経は傷などを察知するために必要不可欠となります。神経に何らかの要因によって傷害が発生していると、傷や炎症があっても気付かないことから、病院などで治癒させるのが遅くなり状態が悪化して治りにくくなります。


③免疫の低下:免疫が低下すると炎症反応を制御する機能が低下することや、傷が出来ている部位に感染、化膿が生じやすくなり治癒遅延が起こります。




以上の3つ、先ほどのニュースからの抜粋と重なる部分がありますよね。代謝が活発、自然治癒力が高い、傷を治す材料が潤沢、ストレスや病気、老化など、治癒を邪魔する要因が少ないは①~③が関与しており、血流が良好なのは血流障害と同じです。


つまり、この3つを改善してあげることで治りが良好になるということが分かります。





漢方療法においても①~③を意識することが大事に

漢方療法での基本は弁証論治といって八網弁証(陰陽・虚実・寒熱・表裏)と気血津液弁証、臓腑弁証、病因弁証などを行うことによって治療方法を確定させるということを行います。


そして、発展させて「弁病論治(病気や症状に対して多い理由と改善法)」という病気によって多い弁証方法を用いるという方法もあります。弁病論治によって先ほどの①~③について考えていきます。


①血流障害

漢方では瘀血といいます。血液の流れが悪い状態をいいます。コロナウイルスによる免疫の暴走あるいはウイルスが血液中に入り込むことにより、全身の血管に炎症が引き起こされて血液の流れを阻害していると考えます。


また、感染によるストレスによる血管の収縮、貧血による血流悪化、水分保持力の低下による血流低下、炎症が残存することによる血流悪化、過剰な熱又は冷えによる血流悪化、暴飲暴食による血流悪化、動脈硬化による血流悪化など様々な要因についても考えていく必要があります。



②神経障害

糖尿病や過度の飲酒、感染症、毒性物質、薬剤、がん、栄養不良(ビタミンの欠乏)、各種病気などによって神経障害が発生します。これを漢方では瘀血(血流障害)や痰(余計な水分の停滞)、血の不足(栄養の不足)、気の流れが悪い(ストレスによる心身の緊張)など、様々な要因を考えながら治療していきます。



③免疫の低下

免疫の低下を漢方では気血両虚や腎虚といいますが、それだけが原因ではありません。ストレスがあっても免疫は低下しますし、胃腸の機能低下によって栄養が補われないのも同じく大きな理由となります。これらを総合的に見ながら免疫を活性化させていきます。




神経障害は①や③及び栄養不足の結果なので、個人的に大事になると思うのは①の血流障害の改善と③の免疫の低下(免疫の低下には栄養状態の改善も含む)を改善することだと思います。つまり「潤沢な栄養素及び免疫細胞が炎症部位及び傷になっている部位に流れ込むことが大事」になります。


そしてもう一つ大切なのが「虚実と寒熱の問題」です。


患部に強い炎症が起きている場合には邪実が大きいので、取りあえずその炎症を抑えないといけません。また、炎症によって体内に余計な熱が増えてしまっている場合には熱を抑えてあげないと治癒が遅くなります。更に、体が弱っているが故に炎症や傷が治せないのに、体を弱らせる清熱薬や発表薬などを使ってしまうと逆効果になってしまうので、心身を補うことを主に行わなければなりません。体内に炎症があったとしても、本人が冷えて食欲が低下している場合には、炎症を消す方法(清熱剤)を工夫しなければなりません(胃腸薬を入れながら清熱薬を入れるなど)。


漢方ではこのような考えを扶正袪邪といいます。

扶正は正気の働きを助け、体質を強化することにより回復を早めるという意味となり、袪邪は病気になる邪気を除去することをいいます。分かりやすくコロナ後遺症に当てはめて説明すると、扶正は代謝や免疫、体力を高めることによって炎症や傷の治りを良好にし、袪邪はストレスや患部の炎症、血流障害を取り去り治癒を助けるという意味になります。



その他、傷表面の感染や傷の表面が乾燥することによっても治癒が遅れてしまうので、漢方でいう清熱解毒薬(感染の原因となる雑菌を抑制する)や補陰薬(潤いを増やす)を用いることもあります。ストレス緩和(ストレスがあると血流障害や免疫低下が引き起こされる)も考えなくてはなりません。


漢方薬は

  • 血流改善:冠元顆粒、桂枝茯苓丸、循環元、温清飲、地竜、当帰芍薬散、温経湯、桃核承気湯など

  • 神経障害:循環元、桂枝茯苓丸、ヨクイニン、コルクレバン、田七人参、疎経活血湯、当帰芍薬散など

  • 免疫の低下:シベリア霊芝、木鶏丹、二至丹、ルミンA、バイタレジーナ、心サージなど

  • 炎症緩和:温清飲、散積宝、ケアピローサ、柴胡清肝湯、小柴胡湯、紫根牡蛎湯、甘露飲、知柏地黄丸、辛夷清肺湯など

  • 清熱解毒:黄連解毒湯、五行草、柴胡清肝湯、竜胆瀉肝湯、銀翹散など

  • 潤い増加:知柏地黄丸、麦味参顆粒、滋陰降火湯、麦門冬湯、甘露飲、釣藤散など

  • 湿熱除去(余計な痰):温胆湯、インチン五苓散、ヨクイニン、排膿散及湯、荊芥連翹湯など

  • ストレス対策:柴胡桂枝湯、柴胡桂枝乾姜湯、柴胡疎肝湯、四逆散、柴胡加竜骨牡蠣湯、桂枝加竜骨牡蛎湯など

※代表的なものを上げただけなので、実際には以上の漢方薬の10倍くらいの処方が適応になります。なので、服用の際には必ず専門家の指導の下としてください。



今回は以上になります。ちょっと複雑すぎますね…実際にはこのような考え方によって漢方薬をおすすめさせていただいてます。症状が治らない…とお困りの方はぜひ漢方療法をお試しくださいませ。みやわき健康薬局では随時相談をお受けしています。近所の方はご来店くださり、遠方の方はLINE相談後に商品を発送するという方法に手対応しています、ぜひご相談くださいませ。


治る期間はまちまちですが、3か月~2年くらいと幅があるのが特徴です。じっくりと体質改善して自分自身が持つ自然治癒力を高めていくという取り組みが必要になります。



よい週末を。




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