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みやわき健康薬局  宮脇 崇

麦門冬湯は痰の混ざらない空咳に効果があるのか?

こんばんは^^朝からとっても爽やかで最高の陽気となりましたここ鹿嶋市です。カラっとして適温だと本当に体が楽ですよね。



さて、本日は「麦門冬湯は痰の混ざらない空咳に効果があるのか?」というお題で書いていこうと思います。


皆さん麦門冬湯って漢方薬を知ってますか?

飲んだことありますか?

今回はその麦門冬湯について掘り下げてご説明します。




麦門冬湯は気道を潤して咳を止める漢方薬

まずは麦門冬湯がどのようなお薬か説明します。


麦門冬湯は漢方の世界では「気陰両虚」を改善する薬に分類されています。気陰両虚とは気(元気、活性)と陰(水分や潤い)が不足した状態をいいます。


主に風邪によって気道が炎症→潤い低下を起こしている時や、老化や大気の乾燥によって気道が乾燥している時などの喉や口の乾燥や「痰が少ない又は無痰の咳」に用いる処方になります。


配合生薬

  • 麦門冬:清熱して水分保持力を高める。肺や気道、粘膜、皮膚を潤して咳を止める

  • 人参:元気を大いに補う。胃腸の働きを改善する。肺の栄養を補う。乾きを止める。精神を安定させる

  • 半夏:痰を取り除く。吐き気を止める。喉の詰まり感の改善。

  • 粳米:胃腸の働きを補う。心身の潤いを高める。

  • 大棗:胃腸の働きを高める。体全体の栄養を補う。

  • 甘草:諸薬の調和。炎症抑制。胃腸の働きを高める。水分保持力を高める。

生薬を一つ一つ把握すると、この処方が先ほど説明した通り「体や気道を潤す働きと心身を元気にする働き」との両輪の作用があることが分かります。そして潤す作用が強く、元気にする作用が補佐しているというのも分かってきます。




果たしてこの漢方薬が空咳に効果があるのか?

もちろん空咳用に作られた方剤なので効果があります。当店でもよくおすすめします。

風邪を引いた時に、例えば、心身の冷え→火照り+咽頭痛→咳→長引くと空咳という順序で風邪が進行した場合、最後の空咳に麦門冬湯を使うと効果を発揮してくれます。


特に、息切れや疲れやすい、ちょっと動くと汗が漏れる、元気がないなどの「漢方でいう気虚(心身の弱り)」の症状+空咳がある場合に適応になります。



しかし、空咳があれば全ての方に適応になるとは限りません。


✅空咳でも麦門冬湯が適応にならない時

  1. 喉の痛みを伴う時

  2. 便秘や火照り、胸痛、寝てから出る咳を伴う時

  3. 痰に血が混ざる時

順番に説明しますね。



①喉の痛みを伴う時

喉の痛みを伴うということは扁桃腺などで化膿や炎症が引き起こされていることを意味します。化膿や炎症があると患部に熱を持ちますので、治療としては清熱解毒や消炎、解表が主となります。


もちろん、咳のし過ぎによって喉が炎症を起こしている場合もあり、その場合には麦門冬湯でもいいですが、風邪の初期で化膿がある場合には適応にはなりませんので、自分の風邪がどの段階にあるのかを把握し、ウイルス又は細菌による扁桃腺の化膿が原因の咽頭痛の場合には、例え空咳があっても他の漢方薬が適応になるということを覚えておきましょう。



②便秘や火照り、胸痛、寝てから出る咳を伴う時

麦門冬湯は炎症や熱を取り去る効果は弱いです。なので、過剰な炎症や熱の存在が伺える空咳には麦門冬湯ではなく、滋陰降火湯や竹葉石膏湯などの清熱作用+滋陰作用(潤す作用)のある漢方薬が適応になります。


熱症状としては便秘や顔の火照り、火照り+頭痛、胸痛、体が温まると出る咳、痰が黄色く粘っこいなどの症状があります。



③痰に血が混ざる時

空咳が出て、更に血が混ざる時は「止血作用のある生薬が入った漢方薬」が適応になります。阿膠や地黄などが入った炙甘草湯などの漢方薬が用いられます。




以上のように、空咳といってもいろいろな種類があります。その中で麦門冬湯が適応になるのは空咳+気虚といって心身や肺の疲れがある場合になります。風邪初期で喉の痛みがある場合や過剰な熱が入っている時、血が混ざっている時などは適応ではありません。




間違っても「痰がたくさんある時」や「湿った咳をしている時」は使わないで

空咳と痰が混ざった咳の違いを見抜くのは意外に難しいです。

コンコンコンッといかにも全く痰が絡まない場合は分かりますが、咳をしても痰が混ざらない咳はどうなの?という疑問が残ります。


実は痰があっても、咳をしても痰が混ざらない咳がでることはよくあります。なので、咳に痰が混ざる、混ざらないはあまりあてにしないでください。


大事なのは気道の痰の有無。咳は肺から空気を出す行為になりますが、その時に気道に痰がある状態だと、こもったような低い湿った感じの咳になります。呼吸時のゼイゼイといった音も痰がある証拠です。毎回じゃないけど、たまに咳をした時に大量の薄い痰が混ざるのも痰の存在が伺えます。このように痰の存在がある時は麦門冬湯を使うと悪化することがあるので注意が必要。


以上のように肺及び気道に粘り気の薄い痰がある状態で使用すると、余計に痰を増やしてしまうので咳が悪化してしまいます。呼吸も苦しくなるので生活に支障が出てくる例も。なので気を付けるようにしてください。



痰があっても使えるのは「痰が粘っこく気道に張り付いて出てこない場合」だけです。


合っていない場合は痰の量が増えて悪化するのですぐに分かると思います。おかしいな…と思ったら服用を続けずにやめる様子をみるようにして、再度、専門家に相談するようにしてください。



今回は以上になります。

咳には漢方薬がよく効きます。もちろん、それは症状や体質に合っているということが大前提。何が合っているか分からない…という時はぜひみやわき健康薬局までご相談くださいませ。


それではよい週末を^^




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