藿香正気散(かっこうしょうきさん)はなぜ全身倦怠に効くのか?
- みやわき健康薬局 宮脇 崇
- 6月5日
- 読了時間: 5分
こんばんは^^今日は朝から強風+気温の低下で寒くなりましたね。久しぶりに白いワイシャツを着ました。まだまだ気候が安定しないので注意しないとですね。
さて、本日は藿香正気散(かっこうしょうきさん)はなぜ全身倦怠に効くのか?というタイトルでブログを書いてまいります。
皆さん藿香正気散という漢方薬を知ってますか?
五苓散や葛根湯などは有名ですが、藿香正気散はそれほどメジャーではないので知らない…という方が多いのではないでしょうか。というか、漢字が難しいので読めないという方も多いことでしょう。
そんな藿香正気散ですが、これからの時期に大活躍する漢方薬になります。
知っていると何かと便利なので、この機会にぜひ覚えて行かれてください。
藿香正気散は一言でいうと風邪や胃腸炎に使われる薬

◆藿香正気散の効能
体力中等度以下のものの次の諸症:感冒、暑さによる食欲不振、急性胃腸炎、下痢、全身倦怠
◆中医処方解説によると
効能:芳香化湿(香りの強い生薬にて胃腸の湿気を取り除く)、理気和中(緊張を取り除き胃腸の働きを正常化する)、解表(軽い発汗によって冷えや余計な水分を取り除く)、止瀉(下痢を止める)という効能の説明がされています。
◆配合されている生薬と効能
・藿香:お腹の湿気を飛ばし、胃腸を動かして吐き気を止める
・蘇葉:胃腸を温めて気の渋滞をほぐし、魚介の毒や冷えの風邪を追い出す
・半夏:お腹の余分な水を取り除き、胃と喉の逆流を止める
・白朮:胃腸のパワー(消化吸収力)を底上げし、お腹の余分な水をさばく
・茯苓:胃腸やメンタルを傷つけずに、体の中の余分な水だけを優しく穏やかに抜き去る
・厚朴:お腹のガスと気の渋滞を取り除き張りと痛みを改善する
・陳皮:胃腸の『気の渋滞』を優しくほぐし、胃もたれ・吐き気・痰の流れを改善する
・桔梗:喉の腫れ・痛みを鎮め、膿を排出して呼吸器をスッキリさせる
・白芷:香りと辛味で、体表に襲いかかってきた寒気や痛みの原因を追い出す
・大腹皮:お腹のガスと余分な水を下へ押し流し、張りとむくみを取り除く
・大棗:胃腸の元気を補い、心を穏やかにして、他の生薬の副作用を緩和する
・生姜:胃腸を温めて吐き気を止める、冷えを取り除く
・甘草:生薬をまとめ上げる漢方界の調停役。急激な痛みや炎症を鎮める
生薬の内容を見てわかる通り
①胃腸の働きを余計な水分を取り除くことで改善する
②胃腸の緊張を取り除きながら動きをよくする
③身体全体の冷え(悪寒)や緊張を取り除く
④外感風寒(風邪による悪寒)と内傷湿滞(胃腸の弱りによる湿の停滞)の両方を想定して作られている
という漢方薬であることが分かります。
よって、効能にある感冒(かぜ)や食欲不振、胃腸炎、全身倦怠などに効果を発揮します。
勘のいい方は分かっていると思いますが、胃腸内の水分代謝を改善する作用と、冷えと緊張を取り除くという働きがある漢方薬なので、風邪といっても胃腸風邪、胃腸炎といっても吐き気や下痢などの水に問題がある場合の胃腸炎、全身倦怠といっても胃腸の機能低下+湿の停滞(全身の重だるさ、頭重感、むくみ、めまい)がある場合に適応になります。
全身倦怠に藿香正気散が効く理由を細かく説明

藿香正気散が全身倦怠に効く最大の理由が「気の流れや働きを改善するから」です。
気の流れや働きと書くと何やら怪しいスピリチュアルな雰囲気が漂ってきますが、漢方の世界では普通に使われる言葉で怪しくはありません。
気とは、身体を動かし、温め、栄養を運び、内臓を働かせる生命活動全体を指します。 神経に関して言えば、脳が疲れていても気の働きが落ちてだるくて動けなくなりますし、末梢の肉体が疲れていてもやはり気の働きが落ちて動きが悪くなります。このような状態を気が足りない状態(心身の活性が落ちている状態)といいます。
藿香正気散には気の流れを阻害する「余計な水(胃腸及び肌)」や「胃腸及び筋肉の緊張」を取り除くという働きがあります。気の流れを阻害する不要物を取り除くことにより、気がしっかり働けるようになるので、脳及び末梢神経の動きが良好になり、全身の倦怠感が改善します。また、胃腸が栄養や水分を消化吸収することによって作られる「気」も増やすことができるので、気を補うという働きによっても倦怠感の改善に役立ちます。
分かりやすい例をご紹介しますね。
胃腸に未消化物や余分な水分が停滞すると、身体は消化を優先するため副交感神経優位の状態に傾きやすくなります。その結果、眠気やだるさ、頭重感が現れやすくなります(それにより胃腸以外の場所にも湿が停滞しやすくなる)。また全身の栄養状態が悪くなるので、それによる全身の弱りや自律神経のアンバランスが引き起こされます。
その時、藿香正気散によって胃腸の機能が良好になると、自律神経のアンバランス(による水の停滞も)及び栄養状態が改善されるので、全身の倦怠感が改善されるということになります。
よって今からの湿気が多い時期の
◆胃腸の調子がいまいち(水が停滞している感じがする)+だるさ
◆冷房による冷えが胃腸にまで影響して食欲不振になっている時
◆夏風邪で心身がだるく食欲不振や下痢を伴う時(寒気を伴う時でもOK)
◆気圧の低下や梅雨時の湿気により、みぞおちのつかえ感や頭重感が出る時
◆汗をかいてもすっきりしない時のだるさ
などに適応になる処方になります。
一言でいうと、「湿気や飲食で胃腸が停滞し、頭や身体が重だるくなる状態に用いる薬」になります。
素晴らしい漢方薬なのでぜひご利用くださいませ。
良い週末を^^
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