こんばんは^^今日は雨が降ったり晴れたり忙しかったですね。季節の変わり目は今日のような天候になりやすいので注意が必要です。
さて、本日は苓桂朮甘湯に「甘草」が含まれている理由についてご説明していこうと思います。
皆さん苓桂朮甘湯という漢方薬をご存じですか?
よく、動悸やめまいの改善として使われています。
「朝が苦手だけど夜になると元気になる」という症状に対して用いられることもある処方です。
そんな苓桂朮甘湯という漢方薬に甘草が含まれている理由についてご説明します。
苓桂朮甘湯は化痰利水薬に分類される
漢方薬の分類では、苓桂朮甘湯は「化痰利水薬」に分類されます。
化痰利水薬とは水分の吸収+排泄障害によって発生した「異常な水分の停滞」を改善する薬という意味になります。漢方では痰飲、水腫、水湿などの停滞を水、水毒、水滞などと呼ぶこともあります。
健康を維持するためには水分が必要不可欠な成分です。血液の主成分でもありますし、細胞にも含まれてその機能が維持されています(70キログラムの男性の場合は、体内に約42リットルをわずかに超える水分が存在します)。
水分は口から摂取されて胃腸にて吸収されます。そして心臓や肺の機能によって全身に運搬されて様々な用途に使われます(消化液や血液の流動性維持、細胞の機能維持など)。そして、余分な水分やいらなくなった水分、代謝によって使われた水分は腎臓によって排泄されます。
漢方では水分代謝に関わるのは胃腸(消化器官)、肺(肺臓、皮膚粘膜)、腎(腎臓及び膀胱)とされています。特に水分が停滞しやすい胃腸との関係が深いと考えられています。実際に、よく発生する水分の吸収+排泄障害による不快症状の多くは胃腸の問題によって引き起こされています。
苓桂朮甘湯は胃腸と肺、腎の全てに作用を及ぼします。
では苓桂朮甘湯の構成を見ていきましょう。
✅苓桂朮甘湯に含まれている生薬
茯苓
桂枝
白朮
甘草
順番のその効能を説明しますね。
茯苓:「利水滲湿、健脾、安神」で、尿の出をよくして体内に滞った過剰な水分を取り除き、胃腸の働きを助け、精神を安定させるという働きがあります。
桂枝:血行促進、鎮静鎮痛、利水作用、解熱、抗菌作用、体を温める作用などがあります。
白朮:体内の水分の働きを正常に調節する働きがあり、健胃、整腸、止汗、利尿などの目的で用いられます。
甘草:鎮咳・去痰・健胃・抗炎症・鎮痙・鎮痛作用などがあります。体内の水分保持力を高めるという働きもあります。
以上をみて違和感を感じませんか?
茯苓、桂枝、白朮は体内に停滞している余分な水分を取り除くのに対し、甘草だけは逆に水分を留める働きがありますよね。苓桂朮甘湯は化痰利水薬という余計な痰飲(水分の停滞)を胃腸の働きを良好にする+血流を良好にして心臓と腎臓の働きを助ける+精神を安定させて副腎の刺激を低減させるという3つの働きによって余計な水分を体外に追い出し、過剰な水分の停滞によるめまいやだるさ、動悸、むくみ、頭痛、代謝の悪い朝が苦手という症状を改善します。
甘草はなんの目的で配合されているのか?
甘草は「保険+血液の量を増やす」ために配合されています。
保険の意味は「乾きすぎを予防する」という意味です。要するに、体外に水分を排泄させるばかりだと脱水になってしまうことがあるので、それを予防する目的で配合されているということです。
血液の量を増やすとは、文字通り血液中の水分保持力をたかめて血液の量を増やすだめです。苓桂朮甘湯は胃腸が弱いがために、胃腸に水分が停滞する→それによって食欲不振やだるさが引き起こされるという症状の改善と、水分の吸収が悪いがために血液の量が減少して、全身の血流が悪くなる+血流が悪くなることによって発生する各所のむくみ(内耳や小脳付近でむくみが発生するとめまいが引き起こされる)改善として用いられます。
余計な水分を外に排泄するだけでは、血中水分量は増えてくれないので、白朮と桂枝、茯苓によって胃腸から水分を取り込み血液量を増やす+甘草によって血液中の水分を留めるという連係プレーによって心身の状態を安定させる必要性があります。このように、胃腸が弱く、それによって血液量が不足(血中水分量の不足)しているが故に不快症状が出ている場合(やや慢性~慢性)には、甘草が入って初めて症状を安定させることができるということになります。
なので、水分を吸収させて外に出すことに特化した五苓散は「症状がある時だけ飲む漢方薬(継続して飲むと体全体の水分保持力が低下する)」なのに対して、苓桂朮甘湯は慢性的な症状(胃腸が弱くやや血中水分量が少ない傾向がある)を軽減させるために長期に渡って服用する処方として活躍しています。
天気が悪いと頭痛がする、めまいや吐き気が出るという症状や、水分の摂りすぎで胃が気持ち悪い、急に生じた尿量減少+むくみ、急性胃腸炎、冷えによる下痢、喉の渇き+尿量が少ないなどで一時的に症状が発生している場合には甘草が含まれていない五苓散が適応になり(一時的な症状改善には甘草が含まれていない方が効きがよくなる)、慢性的なめまい、慢性的な胃腸の不快症状+下痢、ずっとだるさ+動悸が続いている、軽いめまいと耳鳴りが続く、午前中だけ精神が不安定などの症状がやや慢性に続く場合には苓桂朮甘湯にて体質改善していくという使い分けが正しい使い方になります(こちらは甘草が入っているが故に副作用が出にくい+虚弱者には効果が出やすくなる)。
配合生薬が少し違うだけで以上のような違いがあります。
以上、苓桂朮甘湯に甘草が含まれている理由になります。
漢方薬はピンポイントで効くようにできているので、このような繊細な配合生薬による違いが出てきます。ぜひ参考にしてみてくださいませ。
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