こんばんは^^今日は台風デーとなりましたここ鹿嶋市です。現在、午後8時22分ですが、雨風は小康状態となっています。取りあえず、私の周辺では大きな被害はありませんでした。
さて、今回はやや小難しい漢方生薬の話題となります。お題は「漢方生薬の「麻黄」って魔王のように極悪者なの?」です。
皆さん麻黄って生薬知ってますか?
麻黄湯や葛根湯などに入っています。葛根湯は有名ですよね。
今回はその麻黄がまるで魔王のような悪者にされている感じとなっているので、果たして本当に悪者なのか?について検証していきたいと思います。
※麻黄が含まれている漢方薬
麻黄湯
葛根湯
小青竜湯
越婢加朮湯
五虎湯
麻杏甘石湯
神秘湯
防風通聖散
麻杏ヨク甘湯
ヨク苡仁湯
五積散
麻黄の悪評は本当なのか?
巷では
麻黄は神経を興奮させるエフェドリンのような作用があるだから気を付けて
人によっては動悸やのぼせ、不眠などを引き起こすから注意が必要
夏に使うと汗が止まらなくなって熱中症の原因になる
炎症を助長させることがあるから咽頭痛がひどくなることがある
麻薬のような依存性があるみたいだから注意して
などがささやかれています。まずこれらが本当なのかどうか。
結論から申し上げますと「全てYES」です。
えーーー!麻薬のような依存性があるの?とびっくりされる方がいらっしゃると思いますが、麻薬のように強い依存性ではありませんが、少なからずあります。これらのよからぬ作用は麻黄が持つ興奮性が関与しています。エフェドリンという交感神経興奮成分が主成分となっているために、依存性や動悸、のぼせ、不眠、多汗などの交感神経症状を引き起こすことがあります。また、体を温めるという作用があるので、更にその興奮性を高めるという特徴があります。
なので、気を付けた方がいい生薬というのは間違いありません。
しかし、その作用が薬になる
先ほど交感神経興奮成分が主成分になっているとご説明しました。この作用は副作用になる反面、薬にもなります。
気管支を拡張させて咳を止める
体を温めて寒気や冷えによる頭痛を止める
心身を興奮させて血流を改善し、余計な水分を尿として排泄させる(むくみや皮膚炎の改善)
心肺の活性を促してだるさや眠気などを解消させる
炎症と止めるので関節痛や頭痛を緩和させる
免疫を活性化させて風邪などを治す
交感神経を興奮させることによる効果や心身を温めるという作用によりこのような効果を得ることができます。
知っている方もいるかと思いますが、病院の医師が処方する薬の中にも、交感神経を刺激して症状を改善する薬が数多くあります。ぜん息の発作や鼻炎などをやわらげる薬、充血の抑制薬として活躍しています。
このように、効果があるということは副作用もあるというのが薬です。ただ麻黄の場合はその作用が鮮烈なので、副作用も強く出ることが多いことから、注意が必要という生薬なので覚えておきましょう。
注意が必要な場合はどんな時?
✅麻黄に注意が必要なケース
神経過敏で交感神経刺激の影響を強く受けてしまう体質の方
汗腺の機能が弱く、汗が大量に漏れてしまう方
汗が出ている時
火照り、のぼせ、体温が高い傾向のある方の火照り時
老化や長期ストレス、痩せがある方など、水分保持力が低下している方
動悸や高血圧がある方
肺が弱っている方の咳
順番に説明しますね。
①神経過敏で交感神経刺激の影響を強く受けてしまう場合
神経過敏の定義があいまいですが、音に敏感、カフェインに対して過敏に反応する、飲酒すると動悸や頭痛がするなど刺激物に対して不快な反応が出る方は注意して用いるようにしましょう。麻黄が入っている葛根湯や麻黄湯のエキス剤(市販で販売されている商品)に入っている量は少ないので怖がる必要はありませんが、人によっては不快症状が出ることがあります。
②汗腺の機能が弱く、汗が大量に漏れてしまう方
汗をかくと大量に汗がでてなかなか止まらない、そしてその後にドッと疲れが出るという方は、汗腺の機能が低下していて、汗が必要以上に漏れ出てしまっている可能性があります。このような方が発汗作用を持つ麻黄を摂取すると、大量に汗が漏れてしまうことがあるので注意が必要です。
③汗が出ている時
麻黄には発汗作用があります。なので、汗をかいている方が服用していしまうと発汗過多になってしまうことがあります。十分に注意しましょう。
④火照り、のぼせ、体温が高い傾向のある方の火照り時
冷房が大好きで設定温度が低い、冬でもあまり寒くない、全身的に火照りの症状があるなど体が温かい&熱症状がある方の火照りを感じている時はまず合っていないので用いないようにしましょう。
⑤老化や長期ストレス、痩せがある方など、水分保持力が低下している方
老化や長期ストレス、極度のやせがある方などは体全体の水分保持力が低下している可能性が高いです。肝機能を酷使している方も同じですね。このような水分保持力が低下している方が服用すると、脱水や神経の昂りによる筋肉収縮による心身の違和感(節々の痛みや頭痛、空咳、筋肉のつりなど)が出やすくなりますので注意しましょう。
⑥動悸や高血圧がある方
麻黄には交感神経を刺激するので血圧をあげてしまうという作用があります。また、心臓にも作用して動悸や不整脈を引き起こすということも。なので、ケースにもよりますが、高血圧や動悸、不整脈ががある方は気を付けて用いるようにしなければなりません。
⑦肺が弱っている方の咳
疲れると咳がでる、力がなくて痰を吐き出すことができない、何度も風邪を引いてなかなか治らない方のなどがある方の咳や痰の症状の改善には、麻黄が入った漢方薬はおすすめできません。肺の弱りがある方は麦味参顆粒や六君子湯、冬虫夏草、補中益気湯、衛益顆粒などが適応になります。
以上、気を付けるべき体質、症状になります。
ここまで説明してきましたが、例えば五虎湯のように石膏を加えて温める作用を抑えることによって、麻黄による温性を抑えながら使ったり、五積散のように少しだけ麻黄を入れて副作用を出にくくしながら効果を得る、更に長期に渡って使っても問題ない(体に合っていれば)ような処方も存在します。なので、一概に全て以上の説明が当てはまるということではありません。
もっと麻黄について知りたいという方はぜひみやわきまでご相談くださいませ。
薬は適材適所ということでしょうか。
それではよい週末を^^
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