夏の頭痛はなぜ起こる?中医学から考える原因と漢方薬による対処法
- みやわき健康薬局 宮脇 崇
- 7月24日
- 読了時間: 8分
こんばんは^^今日の鹿嶋市は最高気温が27℃と、とても涼しくて過ごしやすかったです。ずっとこのくらいならいいですよね。
さて、今回のブログの内容は「夏の頭痛はなぜ起こる?中医学から考える原因と漢方薬による対処法」になります。
✅いつもはさほどではないのに、なぜか夏になると頭痛が出やすくなる…
✅夏になるとひどい頭痛が頻発する
✅暑くなるとめまいや頭痛、頭重感などの頭部の症状が多くなる
などでお悩みの方はいらっしゃいますでしょうか。
今回はこの夏特有の頭痛や頭部の不調の原因と漢方薬における対処法についてご説明させていただきます。
夏の頭痛は夏特有の外気の影響によって体が影響を受ける

まず、中医学でいう六淫について説明しますね。
中医学では、自然界の気候変化そのものを「六気(風・寒・暑・湿・燥・火)」と呼びます。通常はそれほど大きな影響を及ぼさないのですが、今の夏のように異常に暑くなったり(外因が強い場合)、体力や抵抗力が低下(内因及び不内外因)していたりすると、病気を引き起こす原因になることがあります。
六淫はそれぞれ特徴が異なり、例えば風邪は症状が変化しやすく、寒邪は体を冷やし、湿邪は重だるさや胃腸障害を招きます。中医学では、季節ごとに受けやすい邪が異なると考えられており、その性質を理解して生活を整えることが、病気の予防や養生につながるとされています。
✅その中で、特に夏に影響を及ぼしやすい邪についてご説明しますね。
☀️ 暑邪(しょじゃ)
夏を代表する病邪です。高温環境によって気(エネルギー)と津液(体液)を消耗し、大量の発汗、口渇、倦怠感、食欲低下、熱中症などを引き起こしやすくなります。現代医学でいう「暑熱負荷」に最も近い概念です。
💧 湿邪(しつじゃ)
日本の夏は高温多湿のため、暑邪に加えて湿邪も受けやすくなります。湿邪は体内に余分な水分を停滞させ、頭重感、むくみ、胃もたれ、下痢、強いだるさなどの原因になります。暑邪と湿邪は一緒に現れることが多く、「暑湿(しょしつ)」として夏バテの大きな要因になります。
🔥 火邪(かじゃ・熱邪)
暑邪が強くなったり、体内に熱がこもったりすると、火邪(熱邪)の状態へ移行することがあります。高熱、強い口渇、炎症、イライラ、のぼせなどが目立ち、重症の熱中症ではこのような病態として捉えることもあります。
❄️ 寒邪(かんじゃ)
現代では冷房や冷たい飲食の影響で、夏でも寒邪を受ける機会が増えています。体が冷えすぎると血流が低下し、胃腸の働きや筋肉の柔軟性が損なわれ、腹痛、下痢、肩こりなどの不調につながることがあります。
🌬️ 風邪(ふうじゃ)
風邪は「変化しやすい」という性質を持つ病邪です。夏はエアコンの風、屋外と室内の寒暖差、台風やゲリラ豪雨など、環境の変化が激しくなります。そのため、自律神経が影響を受けやすくなり、頭痛やめまい、体調の変動が起こりやすくなります。
現代の日本の夏は、「暑邪」を中心に「湿邪・寒邪・風邪」が複雑に重なり合う季節です。そのため心身への負担が大きくなりやすく、夏バテや頭痛、胃腸障害など、さまざまな不調が現れやすくなると中医学では考えます。
以上の外気の影響と体の内側にある要因(内因及び不内外因)が重なり、頭痛を引き起こします

つまり夏の頭痛は「外からの攻撃(六淫)」と「体の内側の弱り(内因)や生活習慣+ストレスなど(不内外因)」が重なったときに起こりやすくなります。外邪が強くても体が充実していれば軽く済むこともありますし、逆に内因や不内外因がある人は比較的軽い暑さでも頭痛が起こることがあります。
それでは、夏に受けやすいそれぞれの外邪が、どのように頭痛を引き起こすのか、そして代表的な漢方薬について見ていきましょう。
☀️ 暑邪(しょじゃ)
気と津液を消耗し、体温調節や頭部の血流に影響を与えることで頭痛を起こします。
暑邪は高温環境によって大量の発汗を招き、気(エネルギー)と津液(体液)を消耗させます。また、体にこもった熱を逃がすために皮膚や頭部の血管が拡張し、片頭痛を起こしやすい人ではこの血流変化や三叉神経血管系の活性化が頭痛の引き金になることがあります。さらに、脱水や自律神経への負担も加わることで、頭痛や熱中症に伴う症状が現れやすくなります。
暑邪に用いる代表的な漢方薬:清暑益気湯、麦味参顆粒、白虎加人参湯、竹葉石膏湯など
💧 湿邪(しつじゃ)
水分代謝を乱し、頭を重くして頭痛を起こします。
湿邪は余分な水分を停滞させる性質があります。そのため、頭重感や重だるい頭痛が現れやすく、むくみや胃腸機能の低下、倦怠感を伴うことも少なくありません。梅雨から夏にかけて多いタイプです。
湿邪に用いる代表的な漢方薬:藿香正気散、五苓散、半夏白朮天麻湯、茵陳五苓散など
🔥 火邪(かじゃ・熱邪)
強い熱や炎症によって頭部を刺激し、激しい頭痛を起こします。
火邪は暑邪よりも熱性が強く、炎症や高熱、のぼせ、顔面紅潮、イライラなどを伴います。熱が頭部へ上昇することで拍動性の強い頭痛が現れやすく、重症の熱中症や感染症でもみられる病態です。
火邪に用いる代表的な漢方薬:白虎加人参湯、黄連解毒湯、竜胆瀉肝湯、黄連阿膠湯など
❄️ 寒邪(かんじゃ)
血管や筋肉を収縮させ、血流を悪くすることで頭痛を起こします。
冷房や冷たい飲食などによる寒邪は、首や肩の筋肉を緊張させ、頭部への血流を低下させます。その結果、締め付けられるような緊張型頭痛や首・肩こりを伴う頭痛が起こりやすくなります。
寒邪に用いる代表的な漢方薬:葛根湯、藿香正気散、川芎茶調散、呉茱萸湯、人参湯など
🌬️ 風邪(ふうじゃ)
変化しやすい環境によって自律神経を乱し、頭痛を引き起こします。
風邪は「変化」と「動き」を特徴とする病邪です。夏ではエアコンの風、屋外と室内の寒暖差、気圧の変化、台風などがこれにあたります。これらの急激な環境変化によって自律神経や血管の調節機能が乱れ、頭痛やめまいを引き起こしやすくなります。
代表的な漢方薬:葛根湯、銀翹散、藿香正気散、釣藤散、柴胡桂枝乾姜湯など
以上、説明した邪の中でも、現代の日本では圧倒的に影響が大きいのは暑邪です。そこへ湿邪や寒邪、風邪が重なることで症状が複雑化し、また体質や体調が重なることにより頭痛をはじめ様々な不調が現れます。
まとめ
夏の頭痛は、暑邪・湿邪・火邪・寒邪・風邪が単独で起こることもありますが、多くは複数が重なって現れます。さらに、その人の体質や疲労、睡眠不足、自律神経の乱れ、内臓の機能失調、貧血、ストレスなどの内因及び不内外因が加わることで、頭痛はより起こりやすくなると中医学では考えられています。
適応になりやすい漢方薬を取り上げていますが、実際には様々な邪が複合することが多く、さらに体質やその時の体調が異なりますので、取り上げた漢方薬が適応になるとは限りません。実際に利用する際には必ず専門家の指導の下としてくださいませ。
普段の生活では、暑さに心身が慣れていない時は邪の影響が強く出る傾向にあり、内因や不内外因がなくても頭痛や食欲不振、だるさなどの不快症状が出やすくなります。また昨今の夏は「とんでもない暑さ」になることが多く、それにより同じく内因や不内外因がなくても不快症状が出て長引くこともございます。健康な方が熱中症などの取り返しのつかない重病になることもありますので、「神経質なくらいに無理をしない」ことを頭に置いて行動することが求められます。
具体的には「暑熱環境に長時間身を置き続けないこと」「少しでも調子が悪くなったら涼しい場所で休むこと」が一番大事になり、さらにたっぷりの休養と睡眠、栄養バランスの取れた食事を意識すること、水分や電解質の摂取を意識すること、規則正しい生活を送ること、深酒しないこと、ストレスから離れること、適度に体を動かすことなどを意識することになります。
また、胃腸虚弱や貧血、運動不足、筋力の低下、発汗力低下、食事のバランスが悪い、各種慢性病、過労や睡眠不足で心身が衰弱している、暴飲暴食で内臓脂肪過多がある、ストレスによってメンタルが乱れているなどがあると外気の変化の影響を受けやすくなりますので、治せるならば生活習慣や医療の力などで改善しておくことも大事になります。
さいごに、漢方薬は体質や病態を整える大きな助けになりますが、それ以上に重要なのは「暑熱負荷を減らすこと」です。暑さから心身を守るという土台があってこそ、漢方薬や生活改善も十分な力を発揮します。夏は無理をせず、自分の体からのサインに耳を傾けながら過ごしていきましょう。
今回は以上になります。漢方薬の相談をしたいという場合にはぜひ「みやわき健康薬局」まで気軽にお声がけください。
今年の夏も厳しい暑さが続きそうです。皆さまも決して無理をせず、体からのサインを大切にしながらお過ごしください。良い週末を!
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