動悸・不安に用いる苓桂甘棗湯と帰脾湯の違い
- みやわき健康薬局 宮脇 崇
- 7月3日
- 読了時間: 5分
こんばんは^^朝から雲が多く「ザ・梅雨」という感じの天気となっているここ鹿嶋市です。暑くないのはいいですが、何となく体が重くなりますね。
さて、今回は「動悸・不安に用いる苓桂甘棗湯と帰脾湯の違い」というタイトルでブログを書いてまいりたいと思います。
一般の方には「何やら難しい内容だな…」と感じると思いますが、専門用語をかみ砕き、分かりやすくご説明させていただきますのでぜひ最後までお読みくださいませ。
苓桂甘棗湯と帰脾湯という漢方薬のご説明

✅ 苓桂甘棗湯(りょうけいかんそうとう)
含まれている生薬
茯苓(ぶくりょう): 胃腸を整えながら、余分な水をさばき、心を落ち着かせる
桂枝(けいし): 体を温めて、血や気の巡りを良くする
甘草(かんぞう): 炎症や痛みを鎮め、他の薬の効き目を調和させる
大棗(たいそう): 胃腸の調子を整えて元気と血を補い、精神を安定させる
効能効果: 体力中等度以下で、のぼせや動悸があり神経がたかぶるものの次の諸症:動悸、精神不安
コタローさんのHPでは「不安感が非常に強く、人前に出ると緊張してドキドキしたり、ストレスが溜まりやすくイライラしやすい神経質な方の精神不安、動悸などに用いる」と説明されています。
私自身の解釈では、胃腸が弱く、それによって栄養や水分の吸収が悪くなり、むくみやだるさ、冷えが生じやすい方の動悸、めまい、不安などに用いる処方だと思っています。
苓桂甘棗湯は胃腸の栄養や水分吸収力を改善し、さらに血流を良好にすることにより、動悸や頭部のむくみによるめまい、不安感を改善します。また、大棗や甘草によって心身を栄養されることから、多汗や心身の疲れ、栄養不良によって生じる消耗と、その消耗からくる不安感にも効果を発揮します。
✅ 帰脾湯(きひとう)
含まれている生薬
人参(にんじん): 生命エネルギー(気)を強力に補い、胃腸と心身の元気を呼び戻す
黄耆(おうぎ): 主に脾・肺を補い、体表を守り、水分代謝を整える
白朮(びゃくじゅつ): 胃腸の水分バランスを整えて、中から元気を生み出す
茯苓(ぶくりょう): 体中の余分な水を優しく抜き、胃腸と心を落ち着かせる
当帰(とうき): 足りない『血(けつ)』を補い、巡りをスムーズにして、全身に潤いと温もりを届ける
竜眼肉(りゅうがんにく): 不足した『血』を補い、疲れ切った心と脳を休めて深く眠らせる
酸棗仁(さんそうにん): 精神を鎮め、不眠・不安を和らげる
遠志(おんじ): 脳の『詰まり』を通し、沈んだ気持ちや物忘れを改善して、精神をスッキリさせる
木香(もっこう): 胃腸に溜まった『気』の渋滞を解消し、お腹の張りや痛みを速やかに取り除く
生姜(しょうきょう): 胃腸の『冷え』と『吐き気』を払い、表面から毒(風邪)を追い出す
大棗(たいそう): 胃腸を保護し、他の生薬の滋養作用をサポートする
甘草(かんぞう): 炎症や痛みを鎮め、他の薬の効き目を調和させる
効能効果: 虚弱体質で血色の悪い人の次の諸症:貧血、不眠症、精神不安、神経症
コタローさんのHPでは「食欲もあまりなく、そのために体を滋養できなくて、疲れやすい。そして、栄養不良が影響し、肉体だけではなく、心も滋養できないため、精神神経症状や不眠などを訴える人に適応になる」と説明されています。
私自身の解釈では、胃腸が弱く全身的な栄養状態が悪いがために、体全体の血液や栄養に問題が生じ、それが原因で不安や不眠などの症状が発生している場合に用いる処方だと理解しています。
帰脾湯は胃腸の働きを向上させることによって栄養状態を改善し、さらに漢方でいう「血(血液及び血液中の栄養素)」を増やす作用によって心身の栄養状態を改善します。「心身一如」という言葉がある通り、体の健康状態が良くなると精神も安定しますが、この考えにより虚を補い身体の健康状態を改善し、その結果精神も安定させます。さらに帰脾湯には、精神を直接安定させる生薬もバランスよく含まれています。
同じ不安感ですが、各々治すところが違う

苓桂甘棗湯: 胃腸虚弱 + 余計な水分が停滞していることが原因の不安感
帰脾湯: 胃腸虚弱 + 血液や栄養の不足(血虚)が原因の不安感
に用いるという違いがあります。
でも、「文字では理解できても、実際に自分の身体に置き換えたり、家族の不調の原因を見抜く際にはよくわからない…」という方がほとんどだと思います。
なので、実際にどのような体質や症状がある方に適応になるのかをご説明します。
✅苓桂甘棗湯が適応になる方の体質・症状
胃腸が弱く、お腹がチャポチャポしやすい(振水音がする)
朝に弱く、午後から調子がよくなりやすい
胃腸の調子の悪化や、気圧の変化に動悸やめまいが連動する
疲れやすく、手足が冷えやすい
お腹から突き上げるような動悸がする
汗をかいた後に、強い疲労感とともに不安感が出る
天気が悪い(雨の)日に不安やめまいを感じやすい
手足は冷えているのに、頭部には軽いのぼせがあり、めまいや不安感を伴う
✅帰脾湯が適応になる方の体質・症状
胃腸が弱く、あれこれと思い悩む(気苦労が多い)ことが多い
食欲不振になりやすい
貧血気味(目の疲れや肌の乾燥、抜け毛、顔色の悪さがある)
とにかく疲れや冷えを自覚しやすい
夜になると色々考えて不安になり眠れず、動悸も気になる
疲れたり、食事を抜いたりすると不安感や動悸が増す
身体の調子が悪くなると、メンタルも連動して悪化する
前向きな気分で行動している時は調子が良いが、すぐに疲れが出やすく、疲れると不安感が強くなる
以上のような判別方法があります。 とはいえ、実際にはこれらのチェックだけでなく、もっとたくさんの質問や、舌診・脈診などを含めた「四診合診(ししんごうしん)」によってお体の状態(証)を確定させ、適応となる漢方薬を決めていきます。
今回は「何となくこれかな?」という目安が分かること、そして処方が作られた意味を身近に感じていただければと思い、この記事を作成しました。
漢方薬を試してみたいという方はぜひ「みやわき健康薬局」までご相談くださいませ。
良い週末を^^
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