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みやわき健康薬局  宮脇 崇

中医学的「うつ病」の考え方と治し方

更新日:11月9日

こんばんは^^みやわき健康薬局の宮脇です。昨日から急に寒くなりました。寒くなるのはいいのですが、急に気温が変化すると身体が付いていかないので困りますよね。


さて、今回は「中医学的に考えた「うつ病」の考え方と治し方というお題でブログを書いていきたいと思います。


中医学ではうつ病のことを「うつ証」といい、精神的にすぐれない状態を指し、胸や脇が張ったように痛くなる、怒りやすい、不安になる、喉に異物が詰まったような不快症状がある、ため息が出る、食欲が減退する又は亢進するのを実証。


実証の期間が長くなると次第に心身が疲弊して動悸がして怯えやすい、月経不順、心身が冷えて動きたくない、心身が弱り痩せていくという虚証に転じると説明されています。




以上を踏まえて、中医学的なうつ病の考え方

中医学ではうつ証は「情志の失調で肝気うっ血が引き起こされる」ことが発症要因になると書かれています。


情志の失調とは現代でいうストレス(更年期やダイエット、過労などによって精神が不安定になるのも含まれます)によって精神が不安定になることをいいます。


肝気うっ血とは肝臓も含め自律神経、ホルモン系の調整機能、血の貯蔵、精神機能の「機能失調」をいいます。ストレスが入ると神経が高ぶります。神経が高ぶると頭部に血液が集まり、更に全身の筋肉は緊張気味になります。血流悪化によって肝臓の血流量も減少するので、肝臓の機能にも問題が生じやすくなり、肝臓の持つ代謝、解毒作用、胆汁の生成・分泌に問題が発生してだるさや消化不良、食欲不振、むくみなどの症状が出やすくなります。

これらのストレスによる変化を肝気うっ血といいます。


✅原因

ストレスや更年期、ダイエット、過労などによって精神が不安定になる

「漢方でいう実証」


✅体の変化

精神が不安定になることにより、脳の機能(主に自律神経の調整)や肝臓の機能、ホルモンの調整、血液の貯蔵などが失調する



この変化によってどうような不快症状が発生するのか?

食欲不振、下痢、便秘、不眠、動悸息切れ、脇が痛い、胸が張る、イライラする、不安になる、理由もなく涙が出る、月経不順、生理痛、耳鳴り、頭痛、口が乾く、喉の詰まり感などの症状が出やすくなります。


人間の体は過度の緊張状態、興奮状態になっていると様々な不具合が生じるということですね。例えるとずっとマラソンをしている状態と同じような状態になるので、その状態を維持するために心身に負担が生じるということになります。



■漢方薬による対策法■

主な原因はストレスによる神経の高ぶりなので、神経を鎮めてあげるのが主の対策法になります。柴胡疎肝湯、加味逍遙散、半夏厚朴湯、柴胡加竜骨牡蠣湯、抑肝散加陳皮半夏などの漢方薬を症状や体質を考えながら用いるようにします。


■生活による対策法■

ストレスから遠ざかりながらスポーツや趣味などで発散するようにします。セロリや三つ葉、春菊、梅干し、レモン、酢、グレープフルーツなどは脳の興奮を抑制する働きがありますので適度に用いるようにしてみてください。締め付けるような衣服や髪形ではなく、ラフを心がけます。ゆっくり入浴する、ストレッチする、睡眠時間をたっぷりとる、ペットや好きな人とスキンシップするなどの時間を設けるようにするのも改善に役立ちます。




肝気うっ血が長期に及ぶと、今度は心身が疲弊して「虚証」が出るようになる

肝気うっ血というストレスによる緊張状態が続くと、段々と心身が疲弊してきます。

皆さんも経験あると思いますが、運動会や音楽発表会のあとって疲れますよね?口内炎やヘルペス、風邪をひくなどしませんか?これは心身が緊張によって疲弊しているサインです。


肝気うっ血の状態はずっと緊張が続いている状態。毎日のように運動会や音楽会などのイベントが開催されているのと同じなので、長期になると当然のことながら心身が疲弊してしまいます。


✅原因

長期に渡るストレス(肝気うっ血)が長引くことによる心身の疲弊

「漢方でいう虚証」


✅体の変化

長引く心身の緊張や脳の機能失調によって脳及び五臓が疲弊して疲れや弱りの症状が出やすくなります。



この変化によってどうような不快症状が発生するのか?

だるい、ずっと横になっていたい、楽しかったことが楽しくなくなる、わけもなく涙が出る、食欲不振、不眠、足腰がだるい、体が冷えやすい、精力の減退、めまい、漠然とした不安感が付きまとう、恐怖感がつよくなる、情緒が不安定、月経不順、月経が来ないなどの症状がでやすくなります。



■漢方薬による対策法■

うつ証が長くなると心身が疲弊するので心身の虚によって以下のような症状が出るようになります。


  • 臓躁(ぞうそう):ストレスによる心身の疲弊と胃腸の機能低下があると、全身の栄養状態が悪化して脳の状態が不安定になり、わけもなく涙が出る、泣きわめく、感情が不安定になるなどの症状がでます。適応になる漢方薬は甘麦大棗湯になります。


  • 心脾両虚(しんぴりょうきょ):過度の思慮によって脳と胃腸が疲弊してしまうと、心脾両虚という状態となり、食欲不振や不安感、めまい、顔色が悪い、不眠などが出やすくなります。適応になる漢方薬は加味帰脾湯、帰脾湯になります。


  • 陰虚火旺(いんきょかおう):激しい情緒の変動は体の陰血(エネルギーや血液、水分)などを消耗させて陰虚という症状を発生させます。陰血が不足すると相対的に熱量が多くなり、動悸、めまい、イライラ、月経不順、火照りなどの症状がでやすくなります。適応になる漢方薬は知柏地黄丸、杞菊地黄丸などになります。


  • 腎精不足(じんせいふそく):激しいストレスや心身の過労が続くと、腎精といわれる性ホルモン系および全身の活性を担う要の部分が消耗してしまい、精力の低下、不妊、月経不順、わけもなく怖い、体力の低下、冷え、足腰のだるさや弱り、難聴、耳鳴り、骨や歯のトラブルなどの症状が出ます。適応になる漢方薬は参馬補腎丸、海馬補腎丸、杞菊地黄丸などになります。


以上のように、心身(脳や五臓、ホルモン系)の機能が低下して様々な症状が出ます。分かりやすく分類していますが、実際には実証と虚証の症状が混ざりあうことが多いです。


■生活による対策法■

すでにストレスや過労に耐えられない状態になっているので、ストレスから遠ざかり、過労や冷え、暑さなどの身体的なストレスも回避しなければなりません。心身をしっかり休め、且つ動けるときは適度に動いて体力を戻すことも考えていくことも大事になります。食事はバランスを考えながらたんぱく質と抗酸化物質を意識して摂ることも意識します。よくなってきたら規則正しい生活を心がけ、少しずつ体力を戻して社会復帰を目指します。




今回は以上になります。

このように文章で書くと理路整然とした感じになりますが、実際にはもっともっと複雑で様々な症状が発生し、原因や治し方も多岐に渡ります。また、原因や心身の消耗度合いによっては治るまでに時間を要するという特徴があるので、しっかりと時間をかけて治すという心持が必要になります。


気になる方はぜひみやわき健康薬局までご相談くださいませ。





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