みやわき健康薬局  宮脇 崇

2022年4月15日4 分

コロナ後遺症に十全大補湯が使われている理由と矛盾点

こんばんは^^朝から強めの雨が降り続いている鹿嶋市です。雨の日は何となく気持ちがゆっくりしますよね。こんな日は気持ちに逆らわず、家でゆっくりとするのが養生法です。

さて、今日のブログは「コロナ後遺症に十全大補湯が使われている理由と矛盾点」という内容で書いていこうと思います。

相変わらずコロナが猛威を振るっていますね。オミクロン株はもちろん、最近ではBA2、XEなどの変異株による感染も増えているようです。

そんなコロナですが、後遺症の改善として漢方薬が注目されています。

ネットでは十全大補湯などが使われている例があるという噂が

あくまでも噂ですが、コロナ後遺症の改善として十全大補湯などの補剤が多用されているようです。

✅十全大補湯とは

  • 血液などの体のエネルギーを増やす

  • 全身の活性を高めて全身を元気にする

  • 体を温める

以上3つの作用がある漢方薬です。

ではなぜ十全大補湯が使われるのか?

それは全身を元気にさせて活性を高め、損傷された細胞の再生を促すと考えられているからです。

何となく効きそうですよね?

先に進む前に「コロナの後遺症」の正体は何なのか?

コロナウイルスに感染すると、侵入したウイルスに対して、体内の防衛隊である白血球が攻撃することで細胞に炎症が起こり、その炎症によって細胞が傷害されます。

軽い場合は鼻や喉だけで済みますが、ひどくなると肺や血管など全身の細胞に及びます。

また、ウイルスが存在する時だけ炎症反応が起こる場合もありますが、ウイルスが消失したのにもかかわらず、炎症した細胞から長期にわたり炎症性物質が出続けることもあるようです(コロナ感染後に多い)。※新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染細胞は周囲の非感染細胞に細胞老化を誘導することで炎症反応を持続させる 参照

要するに、後遺症が残り続けているということは

  1. 炎症を起こした細胞から炎症性物質が出続けていること

  2. 高熱やサイトカインストームによる炎症で焼け野原になった細胞の再生が進んでいない

という理由が考えられます。

①炎症性物質が出続けているというということは炎症が起こり続けているということを意味するので、常に重い風邪を引き続けている状態なので当然の如く極度の疲労が続きます。

②炎症反応は治まったものの、ウイルスと免疫との戦いで傷ついた細胞が修復されない状態なので、例えば肺に損傷があれば呼吸がうまく行かないので倦怠感や息切れが残ります。

では、以上の状態に十全大補湯は適応になるのか?

炎症がまだ体の中にある状態で補剤と呼ばれる心身を元気にするものを使うと、炎症がよりひどくなってしまうことがあります。なので、普通は十全大補湯は用いません。

漢方では炎症があり熱が発生してる場合には解表や清熱、滋陰などの方法で取り除くという治療法を用います。

コロナ後遺症においても、火照りや熱感、口が苦い、口が乾く、微熱が続くなどの「熱症状」がある場合は体を温めるという治療法は適応にはなりません。

ということで、①の炎症が体内に残っている場合には炎症を改善する作用のある「清熱薬」や「滋陰薬」が主になるということになります(解表は風邪初期に用いる対処法なので後遺症には用いない)。

こちらは体質や症状によるのでどの方剤というのは申し上げられませんが、発熱が治まった直後の場合は和解剤の小柴胡湯、それ以降、長期に渡る場合には清営顆粒、柴胡清肝湯などが適応になりそうです。

②の場合も直後であれば、炎症が残っている可能性があるので小柴胡湯や柴胡清肝湯などが適応になりますが、炎症はなく、心身の弱りが主症状(めまい、食欲不振、冷え、動きたくないなど)が出てきた場合には補中益気湯や麦門冬湯、人参養栄湯などの補剤が適応になります(十全大補湯も適応になることがあります)。

また、マクロファージの活性も大事になるのでルミンAも適応になりそうです。

炎症の回復期に出現し、組織修復を促す新しい免疫細胞を発見

結論 全ての人に十全大補湯は間違い

当然の結論となりますが、コロナによる後遺症で苦しむ方全てに十全大補湯は間違いということになります。

特に

・激しい咳き込みがある

・咳+胸痛がある

・喉の痛みが残っている

・風邪の治りかけで体が火照ったり寒くなったりする

・渋り腹がある(腹痛があり出したいのに出ない)

・顔や手足にほてりがある

・便秘や口の渇きがある

・肌が乾燥して痒い

・火照り+寝汗がある

・十全大補湯や小青竜湯、麻黄附子細辛湯など温めるものを服用したら悪化した

などの熱症状がある方は合っていない可能性が高いので注意するようにしましょう。

漢方薬にて後遺症の改善をする場合には知識のある漢方薬局で行うようにしましょう。

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